おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「フランケンウィニー」(Frankenweenie, 12)

 ティム・バートンが八四年に監督した実写短編をモノクロ3Dのストップモーションアニメとしてリメイクした作品である。リメイクとは言っても原典より一時間長くなっているので、「フランケンシュタイン」のごくシンプルな(それでいて胸を打つ)パロディとは違って、バートンの好きなあれやこれやが盛りだくさんに詰め込んであるのが魅力だ。

 死んでしまった愛犬スパーキーを甦らせてしまう少年の名がヴィクター・フランケンシュタインなのは当然で、隣に住む少女の飼っているプードルの髪型(?)がアレで、しかも電気ショックで銀髪が混じってしまうあたり、もうこの犬がフランケンウィニーの"花嫁"になることが確定で嬉しくなる(だから飼い主の少女の名はエルザ)。しかも、「フランケンシュタインの花嫁」とは違って花婿と花嫁が相思相愛なのが微笑ましい。

 ポリス・カーロフそっくりのキャラが出てきてちゃんとミイラになったり、理科の先生がバートンの敬愛するヴィンセント・プライスそっくりだったり(しかも、声をアテているのがマーティン・ランドーだから、ベラ・ルゴシも出ているということですね)、主人公の両親がテレビでクリストファー・リーの「吸血鬼ドラキュラ」を観ていたり(「ホビット」に続いてスクリーンでリーを観ることができて、良い年の瀬になった)、もうやりたい放題。
「マーズ・アタック!」でのゴジラに続き、今回はクライマックスでガメラ(もどき)まで登場する大サービスぶりである。あくまでもバートンのバートン自身への大サービスではあるが。

 メアリ・シェリーの原作が古典とされ、繰り返し映像化されているのは、人が生命を生みだし神の領域を侵す罪が物語の中心テーマとなっているからで、「フランケンウィニー」でも主人公の父親が、ちょいとそれらしい説教を垂れたり、フランケンウィニーが自らの存在の意味に苦悩したりする場面も一応登場するのだが、あくまでも一応やっておきましたという感じである。死者と生者の世界の境界を越えるということに、罪や恐怖ではなく、ワクワクするような魅惑を感じてしまうのがバートンの作品世界だから仕方ないですね。

 ギャグも豊富だし、ヴィクターをまねた少年たちが自分も動物を甦らせようとすると、なぜか皆モンスターになってしまうあたり、見せ場も原典よりはるかに派手になっていて存分に楽しませてくれる。だが、その分オリジナルの素朴でシンプルな魅力が消えているのは痛し痒しといったところ。オリジナルで主人公の両親を演じていたのはシェリー・デュヴァルとダニエル・スターンという、画面に登場するだけで妖気が漂ってくる二人(今回の作品ではエンドクレディットで謝辞を捧げられている)だったが、新版の両親は、なんだか見た目も行動も、フツーのいい親になってしまっているのが物足りない。ディズニーの子供向け作品ということで、バートン流の毒がだいぶ弱められているのが、少々寂しいところではある。

 とまあ、文句を垂れつつも、大いに笑ったし、ほろりともしたし、3Dの追加料金ももったいないとは思わない、楽しい時間を過ごせたのは確かである。




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 この辺を一通りおさえておくと「フランケンウィニー」はさらに楽しいはず。

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 個人的には、ゴジラ(?)も登場するこれと

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これのどちらがバートンの最高傑作か、悩むところです。

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 劇中の映画館で「近日上映」になっていたバートンのトラウマ映画。

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by broncobilly | 2012-12-27 12:14 | 映画評
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