おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「キング・コング: 髑髏島の巨神」(Kong: Skull Island, 17)

 ベトナム戦争終結のころ、南海の未知の孤島に向かう調査隊の前にコングその他の怪獣さんたちが姿を現す。

 という予期していたとおりの内容と言えばそうなのだが、予期していなかったのは、これが「地獄の黙示録」のリメイクに近い作品だったということだ。

 トム・ヒドルストン演じる主人公の役名が「コンラッド」であるあたり、原案・脚本のダン・ギルロイも確信犯ですな。

 サミュエル・L・ジャクソンの"大佐"は"闇の奥"でおかしくなったちゃうし、川を進んでいくと未知の部族に遭遇する。そこでジョン・C・ライリーが、やあやあ、と登場するあたりは、「地獄の」でデニス・ホッパーが唐突に出てくるところとソックリで笑ってしまった。

 キング・コングというモンスターが、アフリカ人、ないしアフリカ系アメリカ人に対する白人の恐れのメタファーであるというのは常識と言って良いわけだが、今回はベトナム戦争をモティーフとすることで、アメリカ人が抱くアジア人に対する怖れがコングに投影されているような気がした。だから"大佐"はアフリカ系でなくてはならない。

 ベトナム戦争だし、日本人も登場するのだが、ここでの怖れは軍事的にも経済的にもアメリカの脅威となった(そして、
この作品に資本を投下している)中国におもに向けられているのではないかなあ。

 「GODZILLA ゴジラ」、この作品に続いてレジェンダリー・ビクチャーズは、今後も怪獣映画を制作していくとのことだが、怪獣とは何か、という問いに対してラブクロフト的世界観を本格的に投入してユニバースを構築していくつもりなのが、はっきりしたように見える。

 などと屁理屈をこねつつも、コングがたこと戦うと、わかってるねえ!と、すっかり嬉しくなる。怪獣映画として単純に楽しいです。

 ジョーダン・ヴォート=ロバーツの演出は、ハワード・ホークスを彷彿とさせると言っては、もちろん褒めすぎだし、らオール・ウォルシュと言っても、やっぱり褒めすぎだが、大雑把で繊細さを欠いている(ように見える)のが、逆にパワーやスピードに結びついている。

 主役のはずのヒドルストンが、怪鳥たちをばったばったとなぎ倒すところ以外はそれほど活躍しない(文句を言っているのではない。怪獣映画の人間側主人公としては、正しい立ち位置である。主役はあくまでもコング)代わりに、ライリーがイロイロな意味で大活躍。作品にユーモアをたっぷりと加えている。 レジェンダリー版のゴジラが(少なくとも直接的には)人を殺さなかったのと対照的に、今回のゴジラは容赦ないのも、これまでのコング映画とは一線を画しているので、全編にユーモラスな味付けがないと、ちょっときつかったと思う。

 自己犠牲の英雄的行為に臨もうとした奴が、まったくの無駄死に終わるところなども酷すぎて笑った。

 これでいいのだ。東宝の「キングコング対ゴジラ」だって喜劇だったもんな。





ポスター/スチール 写真 A4 パターン2 キングコング 髑髏島の巨神 光沢プリント



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 やっぱ、タコでしょう。

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by broncobilly | 2017-03-26 10:31 | 映画評
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