おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け」(Arbitrage, 12)

 リチャード・ギアが演じている主人公はニューヨークの高級にアパートに住む大物ヘッジファンド・トレーダー。富と名声に恵まれ、妻スーザン・サランドンとの仲も睦まじく、子供たちや家族にも恵まれている。自らの会社を銀行に売却してさらなる利益を上げることになっている。
 だが、彼の成功には秘密があった。投資に失敗して巨額の資金を失って、帳簿を誤魔化し、借金で監査をやり過ごそうとしている。合併が早く決まらなければ、彼は破産するばかりか詐欺罪で服役することになる。
 さらに悪いことに、居眠り運転で事故を起こし、愛人を死なせてしまう。
 彼は苦境を脱することができるのか? できるとすればどんな手が残されているのか?

 監督/脚本のニコラス・ジャレッキーはこれがデビュー作とのことだが、しっかりと仕立て語り口と人物造形で、映像センスもしばしば鋭いものを見せてくれる。主人公の姿を追いながら、人間ドラマとサスペンスとを同時に堪能させてくれるのだが、アメリカの金融界や、そこに蠢く人々への鋭い風刺も効いている。

 ギアの妻を演じるサランドン、ギアの逮捕に執念を燃やすティム・ロス刑事ほか助演陣も皆好演しているが、結局はギアの独壇場である。
 アル・パチーノの代役とのことだが、パチーノなら主人公のギラギラした面が強調されていたはずだ。
 ギアが演じることで、この男はビジネス・センスや成功への執着心だけでなく、愛嬌や人間的も力も武器にしてのし上がってきたのだろうなあ、ということが感じられるのである。

 若々しさや華やかさ、可愛げを見せるギアだからこそ、ときおり露わになるこの主人公の残酷さ、身勝手さ、そして空虚さが、よりくっきりと浮かび上がってくるのである。
 愛人の葬儀の場で、愛人の母親と抱き合って泣く場面の演技は特に見事だ。

 ラストをさっと切り上げる監督の手つきも実に鮮やかで、ベテラン、ギアの巧さと新人監督のセンスが化学反応を起こして、拾いものの佳作を産んだと言える。

 個人的には大好きだった「ロックフォードの事件メモ」に"エンジェル"役でセミレギュラー出演していたスチュアート・マーゴリンの姿を久々に観られて嬉しかった。予想していたより大きな役だったしね。




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by broncobilly | 2013-05-28 05:40 | 映画評
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