おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(Star Trek Into Darkness, 13 ) 

 謎のテロリスト、ジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーパッチ)からの挑戦を受けて立つエンタープライズ号クルーの物語。

 前作「スター・トレック」で量子力学論的な多元宇宙/分岐世界のアイデアを導入したので、過去の「スター・トレック」の遺産を存分に活用しながら、しかしそれに縛られることなく、なんでも好きなことができるようになった。今回はやはり"過去"を大いに利用しながら、思い切り遊んでいる。

 序盤の一幕、地球上でのあれこれ、等、一度は降格されたカーク(クリス・パイン)が艦長に返り咲き、スポック(ザカリー・クイント)らお馴染みのクルーと共にエンタープライズで宇宙に出航するまでは、状況の設定と、その後の人間関係の伏線を張るのに忙しかったようで、少々退屈する。

 だが一度、船と共に、話の方も軌道に乗ると、一気に最後まで見せきってくれる。



 さて、ここからネタバレ。

 ハリソンの正体がカーンだということは、アメリカでは映画公開前から公然の秘密として語られていたので、そのこと自体に驚きはしなかった。

 そしてこの作品に登場するもう一人の悪玉についても、ありがちな設定だし、なにしろ演じているのがあの人なので、こちらにもそれほどの驚きはない。

 驚かされたのは、完全に"一見さんお断り"の作りになっていることである。テレビ版エピソード「宇宙の帝王」や映画「スター・トレック2/カーンの逆襲」(82)を観客が観ている、名場面やセリフを記憶している、という前提でシナリオが書かれているのだ。

 もちろん、「カーンの逆襲」を観ていなくても、楽しめるのだろうが(ただし、前作を観ていないと「なぜ、スポックが二人??」となってしまうとは思うが)、観ている方が絶対に楽しめるということは断言できる。

 

とか、



ね。

他にも小ネタや設定が、かなり「カーンの逆襲」に基づいているのだが、特に感心したのは、ウソをつけないバルカン人のスポックが、"ウソをつかずにカーンを騙す"という場面を巧妙にリプライズする部分だ。J・J・エイブラムス、シナリオも演出も絶好調です。

 「イントゥ・ダークネス」をこれから観に行くつもりなのに、ネタバレ・ブログを読んでいるという奇特な方は、「カーンの逆襲」を購入するなりレンタルするなりして、ご覧になってから出かけた方がいいですよ。

 もっとも「スタートレック」の世界に馴染みがありすぎて「宇宙大作戦」の「新種クアドトリティケール」などを観ていると「トリブルが生き返って、カークの命を救うきっかけになったのはよいけれど、あの後、船内は大変なことになったのでは?」などと余計な心配もしてしまうのだが。

 「カーンの逆襲」でのリカルド・モンタルバンの演技は(不自然な作り物の胸板と共に)評判になったが、新カーン=カンバーパッチも勢いに乗っている俳優だけあって気を吐いている。悪の魅力を全身から放出しつつも、共感できる部分も持っているキャラクターなので、もともとカンバーパッチのファンだった人は満足するだろうし、新たな女性ファンを大量に獲得することになるだろう。

 終盤は宇宙空間からサンフランシスコへと、幾重にも見せ場が重ねられていて、まさに息つく暇もない。特撮にはサマームービーらしく、たっぷりと金がかけられていることがわかるが、この作品の場合は3Dの効果が素晴らしい。3Dにする意味があるのか、むしろ通常版の方が良いのでは?と思わせる作品も少なくない中で、久々に立体映像の醍醐味を味わえた気がする。

 そしてラストのナレーションで本当に久しぶりに復活した"five year mission"という言葉(映画版「スター・トレック」やテレビ「新スター・トレック」では"continuing mission"に変えられている)には涙が出たよ。

 J・J・エイブラムスは「スター・ウォーズ」の監督をするために、「スター・トレック」はこれでお終いとのことだが、もったいない。

 両方やってもらえないでしょうか・・・?




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by broncobilly | 2013-08-24 12:25 | 映画評
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