おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「アップサイドダウン 重力の恋人」(Upside Down, 12)

 異なる重力が存在する上下二つの世界。一つの世界の上が、もう一つの世界では下。一つの世界は富んでいて、貧しいもう一つの世界を搾取している。富める世界のエデン(キルステン・ダンスト)と、貧しい世界のアダム(ジム・スタージェス)は幼い頃に知り合い、愛を育むが、ある日引き離される。エデンのことが忘れられないアダムは、彼女が働く企業に技術者として就職し再会を果たすが、エデンは過去の記憶を失っていた。

 最初のうちは、世界観と上下逆さまの世界が併存するビジュアルに馴染めず、物語の進み方も淡々としているので、物語の中に入っていけず退屈してしまった。

 "二重引力"とやらの設定も、凝っているようでいて、ぼくのような文系人間が見ても、突っ込みどころ満載である。

 序盤では腕時計が気になって仕方なかったのだが、SFではなく寓話なんだなと割り切ると、のんびりとした雰囲気が何となく愉しくなっていった。

 主演の二人、特にスタージェスは嫌みがなくて爽やかな演技を披露。主人公に味方する、別の世界の住人役のティモシー・スポールも「ハリー・ポッター」の時には違った善人を気持ちよさそうに演じている。

 ぼくは、昔の人間なので、C.G.I.に頼り切った最近のSF、ファンタジーには抵抗を感じることが多いのだが、ここまでぶっ飛んだ設定だと、メリエスの「月世界旅行」とかカレル・ゼマンの「悪魔の発明」みたいな、リアルとか言うことではない、人工的であるからこその楽しさが感じられて、これも悪くないなあ、と観ているうちに思えてきた。

 格差社会をSF/ファンタジーの形で描く作品は昔からあるし(ぼくがリアルタイムで劇場で観たものにも「20300年 未来への旅」、「バトル・ランナー」、「JM」ほか結構あり)、最近では世相を反映してますます数を増やしている(「TIME タイム」、「トータル・リコール」リメイク版、「エリジウム」etc.)が、これらの作品には共通の弱点があるように思われる(って「エリジウム」はまだ観てません。すいません)。

 "革命"が成就するラストが、どうしても急ぎ足になり、説得力がなくなってしまうのだ。

 「アップサイドダウン」はあくまでも、のんびりとした寓話(死人さえ出ない)なので、脚本(監督も)のフアン・ソラナスは主役の男女が"アダム"とイブとなって"エデン"の園を再来させるであろうと言うことを、仄めかすだけで物語を閉じている。閉じているからこそ、先が開けているとも言える。

 面白かったです、とか、必見!とかは言えないけれど、ちょっと心に残る小品である。






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by broncobilly | 2013-09-11 17:33 | 映画評
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