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映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「ウルヴァリン: SAMURAI」(The Wolverine, 13)

 時系列としては「ウルヴァリン: X-MEN ZERO」ではなく、「X-MEN: ファイナル・デシジョン」に続く物語。

 最愛の人であるジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)の命を自らの手で奪ったことで苦悩に苛まれるローガン/ウルヴァリンが、過去の因縁からなんやかんやということになる。

 日本に関するトンデモ描写が話題となっているようだが、映画ファン歴が長い自分としては、この程度なんてエコとはない。想定内というか、予想よりましな部類である。新幹線とかパチンコ屋とかニンジャ軍団が現代の東京に現れる映画で「ハンテッド」(95)というスゴイ作品があり、これを観た時に強い免疫ができたので、「ウルヴァリン」ごときにはびくともしない。別の宇宙にある別の地球の、日本と似たところのある世界での話だと思えば、政府が弱体化してやくざの権力が増しているとか、要人の葬儀で警備員たちがサブマシンガンを持っているとか、東京と長崎が地理的にとっても近いとか、若手新進政治家の趣味が、実はブロンド女性との変態プレイだとか(これはほんとにありそう)、なーんてこたあないです。

 すっかり役が身についたヒュー・ジャックマンは余裕の演技。ウルヴァリンの悪夢に夜な夜な現れるヤンセンは、C.G.I.の補正が入っているので、「X-MEN」一作目の時のままの美しさ。ストーム(ハル・ベリー)も写真で一瞬登場。

 今回は日本人ヒロインが二人登場となるが、活劇パート担当の福島リラ嬢は"ユキオ"(男?)という役名にふさわしく、どこかの国の元総理(宇宙人だったけど)を彷彿とさせる不思議な容貌で、最初のうちは馴染めませんでした。出も、そのうちにどんどん魅力的に見えてきたから不思議。ぜひ、次回作にも登場してもらいたいものである。

 ジェームズ・マンゴールドの演出は、この人らしく手堅く、アクションの見せ方も悪くはないのだが、ちょっとばかりストーリーの方が迷走している。

 シルバー・サムライの正体は、伏線が丁寧すぎるため意外性がない。シルバー・サムライ+ヴァイパーvs. ウルヴァリン+ユキオの対決がクライマックスとなっているため、当初はシルバー・サムライ役が噂されていた真田広之が噛ませ犬的な役柄にとどまってしまっている。

 ウィル・ユン・リーが演じているキャラクターも、いささか不得要領なところがあり、重要な役割なのだが、行動の動機とか変心の理由とかが掴みにくく、そのことがクライマックスの盛り上がりに水を差している。

 まあそれでも、特撮とアクションは派手なので、ぼーっと観ている分には愉しい。中でも秀逸なのが、ヤクザたちとウルヴァリンが失踪する新幹線の屋根で格闘するシークエンス。ドス一本を武器として超人ウルヴァリンと互角に渡り合う三下ヤクザ二人が、この作品のMVP。

 どうでもいいことだが、変態政治家を高層マンションのバルコニーから落としたウルヴァリンとユキオが交わすセリフは「007/ダイヤモンドは永遠に」(71)で、ラナ・ウッドを突き落としたマーク・ローレンスとショーン・コネリーが交わすセリフと全く同じです。

 シリーズのファンなら、(恒例となった)エンド・ロールのお楽しみだけでも入場料の元は取れる、思う、多分。。。。





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by broncobilly | 2013-09-15 12:55 | 映画評
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