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映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「ビザンチウム」(Byzantium, 12)

 ニール・ジョーダン監督による「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(94)以来、久々の吸血鬼映画。「インタビュー」は、熱狂的なファンを持つ原作者アン・ライスの世界観を再現しつつ、あくまでもトム・クルーズ主演のスター映画にしなくてはならない、という二重の縛りがかかっていたためか、ハリウッドの大作としては楽しめたものの、ジョーダンの作家性が十分に発揮された作品であるとは言い難かった。
 「ビザンチウム」には、「狼の血族」(84)を思わせる素朴で耽美的なタッチがあり、ぼくには「インタビュー」よりも好ましく感じられた。

 妖艶なジェマ・アタートンと少女シアーシャ・ローナンが、アイルランドの海辺の寒村に辿り着く。彼女たちはヴァンパイアで、何者かに追われているらしい。

 現在の二人の様子と、彼女たちがヴァンパイアになるに至った過去の事情とがカットバックで描かれる、というあたりは「インタビュー」と同じ構造である。

 アイルランドの荒れて鄙びた風物を切り取るショーン・ボビットの撮影が素晴らしい。"吸血鬼を作る島"から滝のように鮮血が吹き出すショットだけでも入場料金の価値はあると思えた。
 
 この作品に登場するヴァンパイアは昼日中でも歩けるし、十字架などを怖がる様子もない。ただし、初めて訪れる家には招き入れられない限りは入れない、というルールは踏襲している模様。

 幼さの残る少女(と言っても、ずいぶん長い間生きているわけですが)ローナンの初々しい初恋と、アタートンの色っぽさ、凄まじき世渡りが好対照となっているわけだが、過去の事情が明らかになるにつれて、アタートンのキャラの哀れさが少しずつ明らかになっていくのも効果的である。

 ローナンはこの手の孤独な少女を演じさせればピカイチ。アタートンも売れっ子らしい上手さと魅力を存分に披露している。考えてみれば「慰めの報酬」は作品の出来は・・・・だったけれど、オルガ・キュリレンコもアタートンも売れっ子になったし、ラストにちらりと顔を見せるスタナ・カティックも「キャッスル」でブレイクしたし、ボンド・ガールは粒ぞろいだった。

 クライマックスが活劇調になって、少々雰囲気が変わってしまうのが残念だが、その後に続く別れの場面では、まったしっとりとした情感が戻ってくる。

 「ハートレス」を観た時にも思ったのだが、ハリウッドの大作の急かすようなテンポから離れて、ゆったりとした時間の流れに身を任せるのはよいものだ。




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by broncobilly | 2013-09-26 05:57 | 映画評
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