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映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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JOYLAND by Stephen King スティーヴン・キング 『ジョイランド』

1973年、大学生のデヴィン・ジョーンズはノースキャロライナの遊園地"ジョイランド"でバイトを始める。親しい友人もでき、多くのことを学んでいくが、ジョイランドでは過去に若い女性がアトラクションの乗物で惨殺されたことがあり、犯人は捕まらないままだ女占い師に不思議な予言をされたデヴィンは、ジョイランドで多くのことを学び、人の命を救い、美しい母と不治の病の息子と知り合い、そして過去からの殺人犯と対決の時を迎える。

 スティーヴン・キングはJOYLANDを電子書籍化することを拒絶し、TITAN BOOKS社の犯罪小説ブランドであるCASE CRIMEから出版した。アメリカ伝統のパルプ・フィクションの伝統を残したいという思いからだとのこと。だから表紙は、いかにもそれらしいけばけばしいものだし、初版がペーパーバックスで、ハードカバーは限定版として後から出た。

 だが、中身の方は、キングらしく、犯罪小説と言うよりもホラー小説の要素が強い。またセンチメンタリズムという意味でも、キング節全開である。まあ、キングの場合にはセンチメンタリズムと、人生や人間存在に対する諦観が表裏一体になっているわけだが。今回は諦観よりもセンチメンタリズムの方が強く出ていて、青春小説としても、教養小説としても一級品だ。

 一時期、キングも衰えたかな、と思った時期もあったが、『アンダー・ザ・ドーム』辺りから復調した感じで『11//22/63』も実に面白かった。

 そしてJOYLANDはキングが若かった頃の勢いと、現在のキングが持つ熟練の味がいいあんばいにブレンドされていて、内容もホラーであり、ミステリであり、青春小説であり、恋愛小説の要素もあり、と、まさにキングが作った何でもありの遊園地で一日中遊んでいるような楽しさがある。

 
 『11//22/63』のラストもほろりとさせられたが、JOYLANDのラストも美しく、哀しい。ラストの1行は珠玉。『不眠症』リラストのようにボロボロ泣くようなことはなかったけれど。

 日本語版が出る時には、オリジナルと同じ表紙にしてほしいなあ。こんな場面はないんだけどね。

 ああ、面白かった。堪能した。さあてiPad miniのKINDLEアプリで、いよいよDOCTOR SLEEP(『シャイニング』の続編)を読み始めるぞ〜!! 楽しみ楽しみ(^^)/




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by broncobilly | 2013-09-27 17:35 | 書評
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