おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「マラヴィータ」(The Family, Malavita, 13)

 ドンを裏切ったため、FBIの証人保護プログラムで世界中を転々としているマフィアの元ボスロバート・ニーロ、妻ミシェル・ファイファー、子供たちディアナ・アグロン、ジョン・ディレオが仏、ノルマンディの田舎町に越してくる。血の気の多すぎる一家はさまざまな問題を引き起こし、彼らを保護する役目のFBIエージェント、トミー・リー・ジョーンズも気が気ではない。やがて一家のもとに殺し屋たちが送り込まれて・・・・。

 という、いくらでも面白くなりそうな話を、実力派のキャストを揃えて、ヒットメイカーのリュック・ベッソンが撮っている。

 はい、とりあえず、現時点での本年度ワースト・ワンです。退屈した。退屈を通り越して腹が立ってきた。

 アクション、サスペンス、家族ドラマ、デ・ニーロとジョーンズの腐れ縁的友情、そしてなによりも笑いが、どうしようもなく中途半端。通り一編。観客をしっかりと楽しませよう、という気概というか、気迫が全く感じられない。「クロニクル」、「死霊館」、「サプライズ」と、気概と気迫だけで成り立っているような作品を続けざまに楽しんだばかりだったので、「マラヴィータ」の中途半端ぶりがいっそう腹立たしいのである。

 それでいて暴力描写だけは徹底している。登場人物に魅力がなく、「観客を楽しませるためには、この暴力描写が必要だ」、「観客に訴えかけるためには、この暴力描写が不可欠だ」というのではなく「たっぷりと暴力を見せておけば観客は喜ぶだろう」という志の低さしか感じられないので、この作品での暴力はなんのカタルシスももたらさない。ブラック・ユーモアにもなり得ていない。不快なだけだ。

 村でのアメリカ映画鑑賞会にゲストとしてデ・ニーロ演じる主人公が呼ばれる。手違いで送られてきたのはよりにもよってギャング映画。「マラヴィータ」の製作総指揮(なぜ?)マーティン・スコセッシ監督、デ・ニーロ主演の傑作「グッド・フェローズ」だ。

 上映後、楽しげに、生き生きと熱弁を振るう主人公。苦り切った顔でその姿を見つめるジョーンズ。

 と書くと、面白そうだと思うかも知れないが、これが全く面白くないのである。デ・ニーロとジョーンズ、二大スターのイメージと演技力に頼っているだけで、この場面を面白いものにしようという演出上の努力が全く伝わってこないのだ。

 物語にもキャラクターにも感情移入できないので、こんなろくでなし一家のために、村の善良な人々が大勢命を落とすのが不愉快で堪らなくなる。

 それでいて、新たな街へと移動する一家の姿に「家族の絆も戻ったし(そんな場面あったか?)、まあいいか」みたいな主人公のナレーションが被さって終わるのですよ。

 ベッソンは映画作家として新たな境地に入ったのか? 観客を楽しませるのではなく、怒らせて、この化け物のような一家を通して、人間存在の不条理を描こうとしたのか。そう考えれば納得できないこともないこともないこともないが、そんなことあるわけないですね。








 これは傑作です。

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by broncobilly | 2013-11-17 06:42 | 映画評
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