おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「ザ・コール[緊急通報司令室]」(The Call, 13)

 大手スタジオの製作ではない中規模のサスペンスでありながら、アメリカでは封切りの週末だけで製作費を回収、最終的には5000万ドル超えのスマッシュ・ヒットとなったサスペンス映画なので期待して出かけた。

 L.A.で911(日本で言うと110+119)オペレーターとして働くハル・ベリーは、変質者の標的となった少女からの緊急通報時にミスを犯し、結果的に被害者を死なせたことがトラウマになっている。復帰後は教官を務めていたが、ショッピング・モールで拉致され、誘拐犯の車のトランクに閉じ込められたアビゲイル・ブレスリンからの通話を受けることになり、全力で救おうとする。

 前半はベリーのいる管制室と、ブレスリンの状況、そしてベリーの恋人である制服警官モリス・チェスナットによる捜査がこもごもに描かれる。誘拐犯がブレスリンの携帯電話になかなか気づかないなど不自然なところはあるが、テンポが良く、飽きさせない。途中で出てくるマイケル・インペリオリの使い方もなかなか巧みである。このまま最後まで行けば佳作になっていたかも知れない。

 昔観た「いのちの紐」みたいに、最後までベリーとブレスリンが顔を合わせないままに終わったら洒落てるなと思ったのだが、終盤になるとベリーが管制室を出て自ら捜索に乗り出す。

 ここから、作品の調子ががらりと変わってしまうのが痛い。猟奇ホラーになってしまうのである。

 ブラッド・アンダーソン監督の演出も、それまでの軽快さが消えて、くどく、重くなってしまう。

 ラストの決着の付け方も、最初から猟奇ホラーなら"あり"だが、サスペンスとして観ると、どうだかなあ、という感じ。プロとしての矜持を失ってしまったヒロインの再生物語としてまとめるべき話なのに、中盤までと終盤の調子が変わってしまっているために、ホラーの結末になってしまっている。

 猟奇ホラーというのはどぎつくやればやるほど、変なユーモアが醸し出されたりするものだが、この作品は転調の末のラストなので、洒落になっていない。
 後味が悪い。

 ベリーの演技派この人ならば、これくらいはできて当然というレベル。もちろん悪くはないのだが。
 ブレスリンは美少女過ぎないところが役にふさわしくて良い。

 観ている間はずっとハラハラしていたので、金返せとは思わないが、なんだか残念な作品でありました。




ポスタ- アクリフォトスタンド入り A4 ザ・コール 緊急通報司令室 光沢プリント



 「キネマ旬報」最新号。連載は「エクソシスト」監督決定秘話です。


キネマ旬報 2014年1月上旬号 No.1653

キネマ旬報社 (2013-12-20)


by broncobilly | 2013-12-20 06:16 | 映画評
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