おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「キリングゲーム」(Killing Season, 13)

 ボスニア戦争で心に傷を負い、家族にも背を向けて森の中で一人暮らし手をしているロバート・デニーロのもとを、彼に恨みを持つセルビアの元軍人ジョン・トラヴォルタが復讐に訪れる。かくて大自然の中で互いの命を賭したサバイバル・バトルが始まる。

 と書くと、なんだか面白そうだし、実力派二人の顔合わせなので期待しつつ観始めたのだが、これは全く駄目でした。

 90分しか尺がないのに前置きが長すぎるし、最初のうちは二人して仲良く酒を飲んでいたりして、肝心のバトルがなかなか始まらないのでイライラする。

 いよいよバトルの幕が切って落とされても、ご両人とも歴戦の勇士とは思えぬ頭の悪さで、相手を捕らえながらも、ちょっとした隙を突かれて形勢逆転、という局面が何度も繰り返されるのである。

 この手の"人間狩り"テーマのサスペンス/アクション映画の場合、ただ追っかけたり、逃げたりしていればいいというのではなくて、「おっ、そう来たか!」、「なるほど、その手があったか!」と観客を驚かせたり感心させたりする知恵比べが面白くなる要素なわけだが、驚くべきことに「キリングゲーム」にはそんな要素が皆無なのである。エヴァン・ドハーティのシナリオに芸がなさ過ぎ。

 それでいて目を覆いたくなるような残酷場面を、マーク・スティーヴン・ジョンソン監督は嬉しがって大撮しにする無神経さである。トラヴォルタなんて両頬を矢で串刺しにされて大きな穴が二つ空きますからね。でも、ちゃんと手当てしてないのに、いつの間にか傷はふさがって元気いっぱいだから心配の必要なし。

 ここまで、えぐく見せるのなら、いっそ人間の業を抉るようなドラマとして突き進んでしまえば、不当たりの俳優も生かされたのかも知れないが、いよいよのところで突然"いい話"にまとめようとするのですよ。デニーロの演技力を持ってしても、このあたり説得力ゼロですよ。

 元日にもう一度「ゼロ・グラビティ」を鑑賞した後に観て良かったよ。14年度最初の映画がこれでは哀しすぎるから・・・・。




ポスター A4 パターンA キリングゲーム 光沢プリント

by broncobilly | 2014-01-03 10:09 | 映画評
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