おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
最新号
https://www.amazon.co.jp/キネマ旬報-2018年11月上旬特別号-No-1793/dp/B07HSLVBTN/ref=sr_1_3/357-6990759-6652933?s=books&ie=UTF8&qid=1540598296&sr=1-3&refinements=p_lbr_one_browse-bin%3Aキネマ旬報
外部リンク
最新の記事
以前の記事
検索
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

「エージェント・ライアン」(Jack Ryan Shadow Recruit, 14)

 4代目ジャック・ライアン役でクリス・パインが登場。CIAのケヴィン・コスナーの薫陶を受けつつ、ケネス・ブラナー扮するロシア人富豪が米国と世界に仕掛けるテロを防ごうと奮闘する。ライアンは他のヒーローたちと違って妻帯者であることが特徴なので、キーラ・ナイトレイ扮する恋人とのすったもんだも平行して描かれる。

 自ら悪玉を演じているブラナーの演出は、正攻法でがっちりしていると共にテンポも良い。ライアンが分析官となり、ロシアでの異変に気づくまでの導入部がいささか長すぎるのが気になるが。

 ベン・アフレックがライアンを演じた「トータル・フィアーズ」で失敗したシリーズを改めてリブートしようということで、9.11.を冒頭に持ってくることで、現代性を出そうとした意図はわかるのだが。

 それでいて、日本では「次世代テロが描かれる!」と煽っている割には爆弾テロと経済テロの同時進行というのは、かなり以前から映画では描かれていて、別に珍しくも新しくもないですが。

 ナイトレイがブラナーを引きつけている間に、パインがブラナーのオフィスに侵入して情報を引き出す、という中盤の見せ場も、おいおい、今さらこんなので引っ張るのかよ、と最初は呆れていたが、きちんと撮っているし、またそれに続く追跡のアクションへの流れが悪くないので、いつの間にか作品世界に引き込まれていく。

 そうなると、この作品の持つある種の古めかしさが今度はなんだか好ましく思えてくるから不思議である。

 ただ、(ここからネタバレになります)明らかになるテロの内容がウォールストリート壊滅(と同時並行の経済テロ)作戦というのはいかがなものか。

 「スノーピアサー」ほか、格差社会をテーマにしたSF映画が数多く作られ、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」が評判となり、あのウエ・ボルまでもが「ウォールストリート・ダウン」で(一部からだけど)喝采を受けるというような状況の中で「ウォールストリートを守れ!」みたいなクライマックスはどうよ。
 そりゃまあ、ウォールストリートがお釈迦になれば、遠い異国に住む、下々の自分にも大変な影響がある、というのは頭ではわかっていても、なかなか素直にノリきれないところがある。
 決して出来損ないの作品ではないのだが、アメリカ本国での興行成績が期待されたほどではない理由は、この辺にもあるような気がする。

 もう一つは役者の魅力が薄いことで、パインは精一杯やっているし、コスナーも悪くはない。ただ、悪くはない、というだけで、この二人の間にケミストリーが生まれていないのが物足りない。師弟関係の描写も、二人の役者の間に生まれる空気も通り一遍なのである。
 ナイトレイがどうしてもアメリカ人には見えないのもきついぞ。オール・アメリカンであるジャック・ライアンのパートナーは、もっといかにもアメリカ的な女優でないと。
 ブラナー監督は自分の一番のお気に入りの俳優であるケネス・ブラナーの出番はこってりと演出していて、ブラナーは気持ちよさそうに演じている。

 さてさて、今回のリブートは成功しますかどうか。ちょっときついような気もするが...。




ポスター アクリルフォトスタンド入り A4 パターンC エージェント ライアン 光沢プリント

by broncobilly | 2014-02-15 18:14 | 映画評
<< 「大統領の執事の涙」(Lee ... シド・シーザー追悼。R.I.P... >>