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https://www.amazon.co.jp/キネマ旬報-2018年11月上旬特別号-No-1793/dp/B07HSLVBTN/ref=sr_1_3/357-6990759-6652933?s=books&ie=UTF8&qid=1540598296&sr=1-3&refinements=p_lbr_one_browse-bin%3Aキネマ旬報
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ヨーロッパ某国にあるグランド・ブタペスト・ホテルのコンシェルジェ、グスタヴ(レイフ・ファインズ)は、ホテルの常連客だった老婦人マダムD(ティルダ・スウィントン)から遺産として名画を送られる。グスタヴにはマダムD殺害の嫌疑がかけられ逮捕、収監されるが主人仲間ルートヴィヒ(ハーヴェイ・カイテル)らと共に脱獄、わが子のように可愛がっている新人ベルボーイ、ゼロ(トニー・レヴォロリ)や、その恋人であるアガサ(シアーシャ・ローハン)の助けを借りながら自らの無実を証明しようとするが、彼らの背後にマダムDの不肖の息子(エイドリアン・ブロディ)の配下であるジョプリング(ウィレム・デフォー)の魔手が迫る、というような話を、老作家(トム・ウィルキンソン)が若き日(を演じるのはジュード・ロウ)にグランド・ブタペスト・ホテルで晩年のゼロ(F・マーレイ・エイブラハム)から聞かされる、という凝った構成で、物語の中心となる回想ではスクリーンのサイズが小さくなる。説明、回想、狭くなる画面、ラストは「グランド・ブタペスト・ホテル」という書物を読んでいる人の姿、と、物語の枠組み、語りの構造を強調したスタイルで、ぼくたち観客はウェス・アンダーソンの世界へと否応もなく引き込まれていく。
アンダーソンの映画は乱暴に分けてしまうと、楽園を見出す話か、楽園を喪失する話である。前作「ムーンライズ・キングダム」は楽園を見出す話だったが、今回は楽園を喪失する話。これまでの作品よりもあけすけな暴力やゴアの場面が多い。とは言え、単なるゴアではなくちゃんとブラックユーモアになっているから、不快な感じはしない。 絵本のページをめくっていくような編集と、一つ一つの場面の美しさとは奇抜さはアンダーソン節前回で、100分という上映時間はあれよあれよという間に過ぎていく。とても楽しい時間なのだが、敢えて一つ文句を付けさせてもらえば、多彩な登場人物や、彼らを演じている豪華なキャストの出番がごく短いものになってしまっている。スウィントンなんて、ほとんど出オチです。アンダーソン映画常連のビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソンも、今回はただ顔を見せているだけ、という感じ。 と軽い不満を感じつつも、やっぱりアンダーソンの映画は楽しい。だが、今回は愉しさだけでなく、喪失感や人生の苦さが、これまで以上に強く出ている。「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」、「ライフ・アクアティック」、「ダージリン急行」のように、人生は苦くて辛いものだけど、それでもとにかく前を向いて突っ走ろうよ、というのではなく、失われた楽園への憧憬や思慕が強く、"過去"という"物語"の枠組みの内側へと物語は収れんしていくのだ。 そして、こんなウェス・アンダーソンもいいな、と、ぼくは思うのだ。 「キネマ旬報」最新号。連載はリタ・モレノの自伝から。 「イングリッシュ・ジャーナル」最新号。「キックアス2」に絡めて、ちょいと"ヤバイ"英語について、書かせてもらいました。 CD付 ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 2014年 07月号 posted with amazlet at 14.06.06 アルク (2014-06-06)
by broncobilly
| 2014-06-07 08:19
| 映画評
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