おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「SCUM/スカム」(Scum, 79)

 トンデモナイ傑作「荒野の千鳥足」に続く、発掘上映第2弾。昨日(十月十一日)から公開されているが、限定された劇場でのレイトショーなので、なかなか観に行きにくいかもしれない.だが、苦労して出かけたり、DVD化の際には観ておく価値のある作品である。

 元々はBBCで放送されるテレビドラマして製作されたものの内容が過激すぎるとしてお蔵入り。二年後にテレビ版とほぼ同じスタッフ、キャストで製作された。

 少年院に収監されることになった少年カーリンを主人公に、少年院内の腐敗と闘争を描く。

 最初のうちは、英国製だと少年院ものもなんだか上品だなあ、と思って観ていた。東映あたりの刑務所映画、あるいは「あしたのジョー」なんかの少年院描写とは大違いで、看守(とは言わないか)たちもみなスーツを着ているし、汚い言葉を使ったりはするのだが、ストレートな暴力や抑圧と言うよりは、なんだか持って回った慇懃無礼さが目立つ。いかにも英国的である。

 ところが、観ているうちにこの慇懃無礼な抑圧が、じわじわと恐ろしくなってくる。オーウェルの『1984』、ピンク・フロイドの「ザ・ウォール」(中でも「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」)を生んだ、今では世界随一の監視国家となった英国流の支配と抑圧の形式が、少年院というミクロの世界から、社会全体というマクロを映し出すのである。

 音楽はほぼゼロ。アラン・クラークの演出は淡々として即物的。エピソードの連続性が弱く、ぶつ切れな感じなのも、この作品においては、むしろ効果を上げている。

 クライマックスは、おきまりの叛乱という感じにはなるのだが、その後の突き放したエンディングが観客の心になんともやりきれない余韻を残す。

 主人公の少年を演じるのは、また紅顔の美少年(?)だったころのレイ・ウィンストン。見かけはずいぶん変わったが、キャラ的には「ロンドン・ヒート」とか「ノア 約束の船」あたりと全く変わっていないのが、なんとなく可笑しかった。







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by broncobilly | 2014-10-12 11:11 | 映画評
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