おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「インターステラー」(Interstellar, 14)

 環境破壊によって人類の滅亡が目前に迫った近未来。"なにものか"に導かれて人類の「星間移住」(インターステラー)を目指す調査隊メンバーに選ばれたマシュー・マコノヒーが主人公の物語。

 ぼくは基本的に数式が全くダメな典型的かつ徹底的な文系なのだが、相対性理論とか量子力学とかには興味がある。なので、犬とか猫にもわかるように平易に書かれているという触れ込みの科学書をときどき買ってきて読むのだが、清々しいまでにさっぱり理解できない。それでも興味深く干渉することがで来たし、やっぱりクリストファー・ノーラン(というか、ノーラン兄弟)は凄いなあ、ハズレがないなあ、と思うことが出来た。

 もともとはジョナサン・ノーランのオリジナル脚本をスピルバーグが監督する予定だったのを、スピルバーグ離脱に伴い、クリストファーの監督作品として仕切り直されたものである。結果的にはそれで良かったと思う。見事にクリストファー・ノーラン作品として成立している。

 全体として「2001年: 宇宙の旅」の影響が大きいことは誰が観てもわかるだろう。明らかにオマージュと思われるシークエンスがたびたび登場する。

 まず、すごいなあと思ったのは、地球滅亡の危機をミクロではマクロの視点で、しかも説得力を持って描いていること。普通なら世界中を災害が襲う様子を描いて、それを見せ場にするだろう。大統領とか将軍とかも出てこない。田舎町とNASA(それも地下出張所みたいなの)と、あとは宇宙を描くだけである。

 理論物理学者のキップ・ソーン博士が監修しているということで、科学的にも比較的正確(なのだと思う。たぶん…)。

 そのために、中盤までは少々退屈になりかけるところもあるが、主人公と娘(成長後はジェシカ・チャステイン)の人間ドラマを宇宙と地上とを交互に描き、またいくつかの謎を設定することで観客を引っ張っていく。

 探査船に乗っている人工知能と主人公との関係はジョナサン・ノーランのテレビ・シリーズ「パーソン・オブ・インタレスト」を、ちょっとばかり想起させる。

 後半になると、詳しく書くわけにはいかないのだが、二重の意味でのキャスティングによるトリックで観客を驚かせる。サスペンス・タッチになる、このあたりがクライマックスになるのかな、と思っていると、本当のクライマックスはこのあとにやってくる。

 ここまでに張り巡らされた伏線と、人間ドラマと、SF的アイデアとが壮大に結びついて渾然一体となる。
 ビジュアル的にも素晴らしく、SF的設定の映画、ではなくて、本物のハードSFを堪能させてもらえる。

 デジタルをなるべく使わず,実物大のモデルにこだわったという機器の描写も,質感があってすばらしい。

 そして最も感動的なのは、どんな時代にもあきらめず、明日を、空を、見上げようというメッセージが、ドラマを通してはっきりと伝わってくることだ。

 主人公のファースト・ネームは劇中で明かされないが、クーパーという名は"皮脚絆物語"で開拓時代の西部を描いたジェームズ・フェニモア・クーパーにちなんでいるのではないかな、と思った。

 アン・ハサウェイが演じている人物の名がアメリアなのは、この人物の辿る運命をからしても、女流飛行家アメリア・エアハートにちなんでいることは確かだろう。

 たぶん、細かいところをいろいろと見落としているはずなので、もう一度観に行くつもりだ。

 犬猫にもわかる科学入門書を、もう一度読み返してから出かけようと思う。




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 これをもう一度読み返そうかと…。

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by broncobilly | 2014-11-24 05:43 | 映画評
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