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https://www.amazon.co.jp/キネマ旬報-2018年11月上旬特別号-No-1793/dp/B07HSLVBTN/ref=sr_1_3/357-6990759-6652933?s=books&ie=UTF8&qid=1540598296&sr=1-3&refinements=p_lbr_one_browse-bin%3Aキネマ旬報
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1920年代末、中国人という設定で人気のある人気魔術師(ゼンジー北京?)コリン・ファースが友人の魔術師から、ある依頼を受ける。コートダジュールに暮らすアメリカ人富豪一家に、自称霊媒のエマ・ストーンが取り入ろうとしている。なんとかしてインチキを暴いて欲しいというのだ。
魔法も仕事の世界も神の存在も一切信じないファースは、張り切って引き受けるのだが…、アレン映画のファンならこの後の展開は当然見当が付くはず。そうです。年の差恋愛です。 アレンの作品にはマジックがモティーフになったものが多い。「影と霧」、「スコルピオンの恋まじない」、「タロットカード殺人事件」などなど。映画のマジック、ストーリーの中で起こる奇跡、まで含めるともっと多くなる。 ところが一方では「重罪と軽罪」、「セレブリティ」、「マッチポイント」、「ブルー・ジャスミン」のように、神や奇跡の不在を前提に、人間の運命や存在などを徹底的に突き放した視点で綴る作品の系譜もある。 「マジック・イン・ムーンライト」のファースは、皮肉屋で徹底的に懐疑的なのだが、ある場面で自分は奇跡や神の存在を信じたいのだ、と告白する。 たぶんアレン自身もそうなのだろう。無批判に無条件に神や、不滅の魂の存在を信じるには頭がよすぎるのだ。で、頭がいいからイロイロと考えて不安になって、奇跡や救済を信じたくなる。 そして愛とか、映画や芸術の魔法の中に奇跡や神を見出して安心する。そうするとカラッと明るい映画を作る。でもやっぱりまた考えて、超自然的なものが信じられなくなって、全く救いのない映画を作る。 アレンのフィルモグラフィーを眺めていると、この繰り返しなのがよくわかる。 「マジック・イン…」のファースは、信じられなくて信じたくて、信じちゃって、信じられなくなって、そして…、ということになり、まさに振り子のように揺れ続けてきたアレンの心境をそのまま再現しているかのようだ。 今回はカラリと明るい方なので、のんびりと楽しめばよろしい。 アレンもリラックスして作っているのがよくわかる。コートダジュールの風景は美しいし、どちらかというと静的な演出をするアレンが今回はいつになく、大胆にカメラを動かしている。ファースが、ある事実を明らかにする場面の演出は実に鮮やかで、まさに熟達のマジシャンの手並みである。 アレン作品としては水準以下ということになるのだろうが、それでもぼくはこの作品が大好きだ。 いよいよベストテン号発売。ぼくも洋画部門選考に参加しています。 キネマ旬報 2015年2月下旬 キネマ旬報ベスト・テン発表特別号 No.1682 posted with amazlet at 15.02.04 キネマ旬報社 (2015-02-05)
by broncobilly
| 2015-02-05 04:59
| 映画評
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