おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「きっと、星のせいじゃない。」(The Fault in Our Stars, 14)

 以前にも書いたことがあったと思うが、ぼくは双葉十三郎先生呼ぶところの"死病映画"というやつが嫌いである(それと"死刑映画")。

 善人が不治の病で世を去るまでの様子をじっくりと見せられれば、涙が出るのは当然で、黒澤の「生きる」みたいに、一工夫も二工夫も凝らしているなら別だが、お涙ちょうだいの場面をずらずらと並べて、観客を泣かせようなどというのは最低だと思っている。

 というわけで、「きっと、星のせいじゃない。」には、余り気が進まぬままに出かけた。だって主役の若きカップル両方がガン患者という設定ですからね。とかろが、これが思いの外、よかったのであります。

 いやね、実際のところ、お涙ちょうだいの場面がずらずらと並んでいるのですよ。だけど、不思議と湿っぽくなっていない。

 まずはジョン・グリーンの小説を脚色したスコット・ノイスタッターとマイケル・H・ウェバーの腕がいいのだろう。明るいユーモアが全編に満ちている。

 と同時に、命とか人生に対する洞察が通り一遍ではなく、悲恋物語の中に込められていて、一本筋が通っているのである。

 一歩間違えば、さもしいティアジャーカーになるところを、ユーモアと深みのあるテーマによって、実に見応えのある作品に仕上げている。ジョシュ・ブーン監督の演出ぶりも瑞々しい。

 主役カップルを演じるシャイリーン・ウッドリーとアンセル・エルゴートの好演も嬉しく、ウッドリーの熱演を明るく軽妙に受けるエルゴート、という組み合わせが上手くいっている。

 きれいに歳を取ったローラ・ダーンの演技に力が入りすぎていないのもいい。

 一つ一つの場面が丁寧に撮られているのだが、せっかくオランダまで会いに行った作家ウィレム・デフォーに冷たくされたヒロインが、病で失われた体力を振り絞って、アンネ・フランク記念館の最上階まで階段で上っていくシークエンスは、特に感動を呼ぶ。

 などと書くと絶賛しているみたいだが、この作家の扱いも含めて終盤部分が甘く、またくどすぎるように感じた。もっとさらりと描いてくれた方が余韻が残るような気もするのだが、商業映画としてはここまでやるのが正解なのだろう。

 とりあえず、見逃さないでよかったとは思える出来ではあった。



 音楽もとてもよかった。

きっと、星のせいじゃない。
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by broncobilly | 2015-02-24 15:18 | 映画評
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