おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「ビッグ・アイズ」(Big eyes,14)

 ティム・バートン監督の新作は実話ネタ。シングル・マザーの画家エイミー・アダムスが、アヤシゲな画家クリストフ・ヴァルツと再婚。ヴァルツは妻の描く目の大きな子どもたちの画が脚光を浴びると自分の作品として発表。プロデューサーとして(というか詐欺師的な)才能を大いに発揮し、妻に描かせ続けている画の複製やポスターを売りまくるが、自分の分身とも言える作品を自分の名で発表できないアダムスとの間の溝が広がっていく…。

 アートが好きで好きでたまらないのに、才能の方がまったくない人物が巻き起こす悲喜劇という点では「エド・ウッド」と共通するが、今回は妻の方に寄り添って書かれたシナリオである。
 スコット・アレクサンダーとラリー・カラゼウスキー(「エド・ウッド」も、この人たち)によるシナリオは題材の面白さに頼りすぎていて、やるべきことはきちんとやっているものの、主人公二人の描き方も通り一遍。アダムスとヴァルツの達者な演技があるから決して退屈はしないが、彼らの熱演をさらに輝かせるような特別な場面はない。

 このシナリオが一番まずいのはダニー・ヒューストン扮するゴシップ記者の扱いで、一応彼の語りで物語が進行し、彼の視点で主人公カップルの姿が描かれていく形式なのだが、非常に中途半端なのである。ヒューストンが、この二人をどのように見ているのか、二人と関わることでどのように変化したのかが全く描かれない。つまり、この人物を語り手として設定する意味が全くないのだ。

 だが、物語を綴るバートンの手際は鮮やかで、がっちりしている。自分の分身である作品を裏切っているという罪の意識から、スーパーで出逢う人々や鏡の中の自分が、アダムスの目には"ビッグ・アイズ"に見えてしまう場面にはバートンならではの味がある。

 なんて、つらつら書いていると、気に入らなかったと思われるかもしれないが、前日に観た「シェフ 三つ星フードトラック始めました」を楽しみながらも感じた物足りなさが、「ビッグ・アイズ」を観ていくぶんなりとも解消したことは確かである。

 なんと言うか、バートンなのだから、もう一つ、もう少しだけ、がんばって欲しかった。惜しいのである。




ポスター A4 ビッグ・アイズ 光沢プリント


「キネマ旬報」最新号。連載は「プリンセス・ブライド」の続き。海外テレビドラマの特集にも寄稿しました。



by broncobilly | 2015-03-04 17:49 | 映画評
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