おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(14)

 本年度のオスカー最優秀作品賞受賞作。かつての当たり役「バードマン」のイメージから抜け出せない落ち目のスター、マイケル・キートンが脚色・演出・主演でレイモンド・カーヴァー原作の舞台劇を上演しカムバックを図るが、様々なトラブルが続発し、精神的にも追い詰められ、バードマンの幻影(?)まで見るようになって…。

 冒頭とラスト近くを除けば、全編を一カット(ぽく)撮っているのが話題だが、もちろん前例がないわけではなくてヒッチコックの「ロープ」がよく知られているが、テレビシリーズ「サード・ウォッチ」の一エピソードでもやっていたのを観た記憶がある。ほぼ全編ではなくて、一部が極端な長廻となると枚挙にいとまがなく、ブライアン・デ・パルマは「スネーク・アイズ」の冒頭を始め、何度もやっている。

 ただし、「ロープ」にしろなんにしろ、長廻し、ワン・カットの表現の場合は、同一カットの間は、場所が限定され、時間の流れが一定であるというのがお約束にならざるをえない。

 だから「バードマン」ではどうしているのだろうと興味津々だったのだが、ワン・カット(的な)表現の中で、まさに鳥が羽ばたくように場所が自由に移動し、時間の経過もしっかりと表現し、それでいてワン・カットの効果である躍動感はちゃんと維持され、活かされていることにまずは感心した。アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督(共同脚本も)恐るべし。

 基本的には主人公の頭の中を覗き見し、主人公の精神状態とどうかしていくのが醍醐味の作品なのだが、そんな中で批評家批判(「芸術を生み出せないものが批評家になる。兵士になれない者が密告者になる」というセリフはキツかった)、ハリウッド批判、どさくさに紛れてワン・パターンのヒーロー映画ばかり有難がって観ている観客批判まで飛び出す。
 批評家の端くれであり、スーパーヒーロー映画も好きなファンでもある、ぼくなぞにはグサグサ突き刺さりました。

 でも「バードマン」のような"非定型"の作品にワクワクできるだけ、まだ救いがあると思いたい。

 俳優たちはおしなべて好演だが、キートンは、むしろいつものキートンである。彼をスターの座に押し上げ、そしていつか時代遅れのスターにしてしまったハイパーアクティブな演技スタイルをそのままイニャリトゥは利用している。
 柄にない演技をされるより、この場合はずっといい。

 アートっぽくなりすぎず、センチメンタルになりすぎず、俗っぽくなりすぎず、実験的になりすぎず、絶妙のバランスを保ちながら「バードマン」は飛び続ける。そしてラストの開放感と余韻が素晴らしい。




Birdman



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by broncobilly | 2015-04-12 13:22 | 映画評
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