おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「ヒューマン・ハイウェイ」(82、ディレクターズ・カット版2014)

 昨年日本初公開となって話題を呼んだ「荒野の千鳥足」と「SCUM/スカム」。劇場公開前に見せて頂くことができたのだが、どちらも面白く衝撃的だった。特に「荒野の千鳥足」の方にはガーンとやられてしまい、うっかりキネ旬のベストテンにまで入れてしまったよ。

 今年も同企画で「ヒューマン・ハイウェイ」<ディレクターズ・カット版>と「懲罰大陸U.S.A.」なる作品が本邦初公開となる(「ヒューマン」のディレクターズ・カットでないバージョンはVHSが発売されたことがある模様)とのことで、またしても一足早く見せて頂いた。

 まずは「ヒューマン・ハイウェイ」の方から。

 いやあ、これも面白かった。監督はニール・ヤング(同名異人ではなくて、あのニール・ヤング)とディーン・ストックウェル。脚本はストックウェル、ラス・タンブリン(俳優としての代表作は「ウエストサイド物語」というよりは「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」)ほか、出演はヤング、ストックウェル、タンブリン、DEVOほか。

 まあ、要するに、ホッパー、タンブリン、ストックウェルら、ハリウッドの落ちこぼれ(当時)連中が、ドラッグなどキメながら、わいわい言いつつ、でっち上げた企画になぜヤングが乗り、またノリもよく、どうにかこうにか出来上がった作品ということなのだろう。

 ハイウェイ沿いの自動車修理工場で働くのがタンブリンとヤングのバカ・コンビ。近くのダイナーのコックがホッパーで、サリー・カークランドや、シャーロット・スチュワート(「イレイザーヘッド」)がウエイトレスをしている。バンド、DEVOの面々は原発(核廃棄物処理場かな?)労働者で、お揃いの作業服に身を包み、放射能を全身でたっぷりと吸ったのか、いつもぼうっと発光している…って、やばすぎますな。

 特にこれといったストーリーがあるわけでもなく、ドアホ、ドケチ、ドスケベがドイナカの乾いた土地で、なんやかんやと蠢いているうちに、放射能によるカタストロフィが訪れる、というもの。

 力の抜けきった、抜けすぎた演出のもと、わざとなのか、本当にやる気がないのはっきりしない皆さんのショート・コントが続いているうちに、なんとあの名曲「HEY HEY, MY MY」がヤング+DEVOで披露されたり、屋内のスタジオの安っぽいセットでの小芝居が、いきなりヤングのつぁー・ドキュメンタリっぽくなり、ここだけ調子が変わってとても美しく、このまま終わるのかと思ったら、またスタジオに戻って、どうしようもなく脱力する惚けたミュージカル場面になったり…、もうね、呆然としてるうちに終わります。

 でもって、非常に面白かった。デイヴィッド・リンチは、この作品を観ていないと言われたら、驚くね、俺は。

 なんかリンチ作品のユーモアとか、場もうどうしようもなくバカバカしい部分(←褒め言葉)に大いに通じるものがあるのですよ。

 スチュワートが出ているだけでなく、この後にホッパーとストックウェルは共に「ブルーベルベット」に起用されて、二人ともカムバックのチャンスを掴むことになるわけだし、タンブリンだったTVの「ツインピークス」にゲスト出演してたもんな。

 ヤングはバカ演技が見事すぎて、本当にこんな人だったのかも…と一瞬思ってしまったが、演奏場面になるとやはり神々しいぞ。

 30年近く前に一度だけNHKホールでの公演を観たことがあり、登場時にアコースティックで、ラストにロック・バージョンで演奏してくれた「HEY HEY, MY MY」はずっと愛聴曲だったのだが、せっかくチケットを買って楽しみにしていた、そのずっと後の武道館公演に仕事で急にいけなくなってからもなんとなくヤングは聞かなくなっていた。「ヒューマン・ハイウェイ」を観てからは、ずっとヤングを聞いている。

 ドラッグと放射能がたっぷりと染みこんだおもちゃ箱をひっくり返したような怪作、でも快作なのかも。

 嬉しかったです。観ることができて。





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by broncobilly | 2015-07-26 16:26 | 映画評
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