おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」(BIg Game, 14)

 フィンランドの少年オスカリ(オンニ・シンミラ)は代々、名ハンターの家系。13才の誕生日に、大森林の中で過ごして獲物を持ち帰るというイニシエーションに挑むが、どうも頼りなく、父も不安げだ。
 一方、アメリカのムーア大統領(サミュエル・L・ジャクソン)の乗ったエアフォースワンがフィンランド上空でサボタージュに遭い墜落。大統領はシークレット・サービスのモリス(レイ・スティーヴンソン)の手によってポッドで辛くも脱出し、大森林に着地。
 "大物"を発見したスカリ少年と大統領は、追いすがる敵から逃れつつサバイバルに挑む。

 上記のほかにも、ヴィクター・ガーバー、フェリシティ・ホフマン、テッド・レヴィン、ジム・ブロードベントなんて人たちが、コントロールルームで大統領の安否を気にしてやきもきしたりしていて、なにげに豪華なキャストである。

 上映時間が短めで、キャストが賑やか、C.G.I.の出来も良いので退屈はしなかったのだが、いろいろと物足りなくもある。

 まずは敵との追いつ追われつになるまでの前段部分が長すぎる。そのぶん、いよいよ追っかけっこが始まってからが慌ただしい。

 この設定だと、少年がナチュラリストとしての知識や技術を駆使して、都会子である大統領を助け、敵の鼻を明かすという展開が横道なはずなのだが、ビヨークによく似たオスカリ少年は、あっぱれな根性を持ってはいるものの、特殊技能をほとんど発揮しないのであります(糸電話を作る、というのもハンターの特殊技能に入るのであれば別だが)。

 もう一つ疑問なのは、どの層の観客をターゲットにしているのかが、はっきりしないこと。主人公が少年で、いかにもファミリー層を狙っているような部分もあるのだが、それにしては暴力描写がきつすぎる。ファミリー映画にするのなら、もっとおおらかにのびのびと作った方がよい。そうすれば、大人だって童心に戻って楽しめる。
 それでいて、大人向け作品としては他愛ない部分が多すぎるのである。

 大統領が主役級のアメリカ娯楽映画だと愛国的なテーマが打ち出されることが多いのだが、これはフィンランドとイギリスとドイツの合作なので、アメリカに対するイジワルな視点がある。もちろん大統領は救出されるわけだが(ネタバレですか? これはかまわないよね)、しかし、アメリカの闇は深い、みたいな、えっ、この人このままなの?的な、ハリウッド娯楽映画の文法とは違った結末なのが逆に興味深かったりもした。

 観終わって印象に残るのはフィンランドの大自然のみ、と言いたいところだが、ヤルマリ・ヘランダー監督の「本物だと、本物ぽく見えない」との意見で、実際のロケはアルプスで行われたそうです。
 まあ、気分は出てたからいいんですけど…。



ビッグゲーム 大統領と少年ハンター (竹書房文庫)

by broncobilly | 2015-09-02 09:18 | 映画評
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