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映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「LOGAN/ローガン」(Logan, 17)

 ミュータントたちのほとんどが姿を消した二〇二九年。老いさらばえたプロフェッサーXの世話をしながら、リムジンの運転手として細々と生計を立てているローガン/ウルヴァリンは、自らの同じ能力を持つ少女ローラを守りながら、プロフェッサーXも伴って、ローラを狙う組織からの逃亡を余儀なくされる。
 だが彼を不死身の超人にしていた改造が、内側から彼を蝕みつつあり、ウルヴァリンに、以前ほどのパワーは残っていない。

 という意表を突く設定の、「X-MEN」シリーズ番外編。

 佳作「3時10分、決断のとき」を撮ったジェームズ・マンゴールド監督だし、メキシコ国境近くが主な舞台だしということで、西部劇の香りがぷんぷんしていて、物語の途中では「シェーン」が登場。資本家に苛められる一家の助太刀をウルヴァリンが…、という流れに、やっぱりなあ、と思っていると、一家全員が惨殺されてしまうので驚かされる。

 ことほどさように「ローガン」には暗く、陰鬱な雰囲気が漂う。

 暴力描写も凄まじく、まあ、あんな刺身包丁を横に並べたみたいなのでウルヴァリンに斬られたら、そうなるのが当然なので、今までの描写が抑え気味だったのだろうが、それにしても血塗れである。

 と同時に、それだけ殺伐としているからこそ、ローガンとローラ、そこにプロフェッサーXを加えた疑似家族の絆の、哀しい美しさが際立ってくるのも事実である。

 ブライアン・シンガーの撮った「X-MEN」1、2作目での、疎外されるミュータントたちの姿はL.G.B.T.のメタファーとしての側面が強かったわけだが、「ローガン」では、性的マイノリティではなく人種的マイノリティに対する差別と抑圧が強調されていて、終盤に登場する若きミュータントたちは、とある事情により、人種的マイノリティであると共に、もちろんミュータントなので、二重にマイノリティという十字架を背負わされているわけだ。

 重荷としての"十字架"が"X-MEN"の神話に変わるあのショットは素晴らしい。

 コミックスのファンではないものの寝映画版は最初から劇場で観ていて、「新スタートレック」のファンだった身としては、プロフェッサーXの散り方はあまりにも痛ましく、哀しい。しかし、その哀しさもまた、「ローガン」という作品の魅力なのである。

 ローガンの最大の敵であるが"あれ"なのは、もちろん意図的なのだろう。ローガンは、殺戮者であるミュータントととしての自己"ウルヴァリン"と闘うのだから。

 ローガンの最期のセリフには実に含蓄がある。


 マンゴールドは、「ローガン」で描かれているのは未来のディストピアではなく、現在のアメリカそのものだと「キネマ旬報」最新号のインタビューで語っているのだが、だとすれば、あのラストに漂う"希望"は苦すぎる。
 おそらくそれは、"真実"であるがゆえの苦さなのだが。





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 マンゴールド監督インタビューは必読。ぼくの連載は世紀の奇作「ロアーズ」紹介。前号の「男優編」に続いて、「世界のスターTOP10 U40 あなたから絶対に目が離せない! 女優編」も書かせてもらいました。






by broncobilly | 2017-06-04 09:25 | 映画評
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