おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「アトミック・ブロンド」(Atomic Blonde, 17)

 ベルリンの壁崩壊直前のベルリン。MI6の腕利き諜報員シャーリーズ・セロンが、西側スパイのリストを暗記した男'スパイグラス'を亡命させようとするが、敵か味方か正体の判然としない同僚ジェームズ・マカヴォイや、正体不明の二重スパイなども絡んで状況が混乱する中、様々な敵と死闘を展開する。

 勝手に現代の話だと思い込んでいたので、時代設定が以外で、ル・カレ、ジョン・ガードナー、レイ・デントンらが書いていた冷戦スパイ・スリラーを読んで育った自分としてはなんだか懐かしかった。内容の方も、裏切りに次ぐ裏切りとか、敵かと思えば味方とか、その逆とか、一昔前のスパイ・スリラー小説、映画を彷彿させて、これもウレシイ。

 現代的なのはアクション/バイオレンス描写の数々で、「ジョン・ウィック」の共同監督だったデヴィッド・リーチが監督しているので、とてつもなくスピーディである。世論も実に良く動く。「モンスター」、「マッド・マックス/怒りのデス・ロード」で'汚れ'に離れている人なので、血塗れ、傷だらけ、顔ぱんぱん、もドンと来い。「ワイルド・スピード ICE BREAK」では、ほとんどアクションを演じる機会のなかった鬱憤を、プロデュースも兼ねたこの作品で晴らしているかのようだ。

 ただ、語り口や、舞台となっている時期のロック/ポップ・ヒットを多用した音楽はヒップなものなのだが、先述したように物語そのものは一昔前のスリラーを踏襲しているので、「ジョン・ウィック」のような(実は)ファンタジーよりも、バイオレンス場面が陰惨に感じられることは意外で、ホラー映画の残虐描写などには耐性のあるぼくにも、相当辛かったりもした。

 ラストのツイストには、まあ、こんなもんでしょうという想いと共に、これでこそきっちり終わるんだよなあ、という満足感もある。

 マカヴォイの怪演、ジョン・グッドマン、トビー・ジョーンズらの存在感、売れっ子ソフィア・ブテラのピチピチした魅力も楽しいが、やっぱりこれはシャーリーズ・セロンの美しさ、(場面によっては)ヨゴレっぷり、そして強さを愛でるべき作品。

 そう割り切って鑑賞すれば、文句の付けようはない。



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 最新号。連載はブルース・キャンベルの回想録から。ジョン・G・アヴィルドセン監督の追悼文も書かせていただきました。





by broncobilly | 2017-09-03 14:01 | 映画評
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