おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「ジグソウ: ソウ・レガシー」(Jigsaw, 17)

*軽いネタバレあり。 

 7作目で一応完結していたはずの「ソウ」フランチャイズ七年ぶりの新作。 ジグソウことジョン・クレイマーが過去に仕掛けたゲームを彷彿とさせるような殺人事件が起こり、ゲームの中で命を落とす人々の姿と、事件を捜査する刑事、検死官、その助手などの姿が交互に描かれる。後者の人々は容疑者たちでもある、と思っていたら死んだはずのクレイマーご本人が登場(ここがネタバレです)。え〜! どういうことよ?!となる。

 とまあ、こういう内容なので、これ以上ストーリーの細部に触れることは避けたい。 

 とびきり驚かされた「ソウ」第1作目だったが、シリーズの初期は大いに楽しませてくれた。ゴア<謎解き、という感じだったので。ラストで、それまでの伏線が一気に繋がり、意外な真相が明らかになるのを細かいカッティングのモンタージュで見せてくれるのがこのシリーズの醍醐味で、いつも新作を楽しみにしていた。 

 ところが後期の作品になると、ゴア>謎解き、という感じになり、真相がそれほど面白くも意外でもない分、人体破損の描写を過激にすることでごまかしているみたいで、7作目を観たときは、これが潮時だよなあ、と思った次第。 

 さて、「ジグソウ」では、とっくに死んだはずのクレイマーがどうしてゲームを主催しているのかというのが最大の謎で、これが変装とか双子とかだったら激怒するところ。 結論から書くと、きちんと騙して驚かせてくれたので、一応の満足感を得ることができた。 

 この謎解を、フェアではない!と怒る人もいるかもしれないが、ぼくはこの手のトリックは好きである。「ピラニア3D」とか、ろくでもない脚本ばかり書いてきた(観たけど、好きだけど)脚本家コンビとしては上出来である。 

 残念なのは役者陣に魅力がないのと、残酷描写が派手な割には、演出そのものに粘りというか重みが感じられないところ。「デイブレイカー」、「プリデスティネーション」など、ぼくはスピエリッグ兄弟の作風は好きなので期待していたのだが、可もなし不可もなしという演出ぶりだった。次の「ウィンチェスター」に期待したい。 

 可もなく不可もなくと言えば、本国での興行成績も同様なので、このフランチャイズの続きが作られるのかどうかは微妙なようだが、ぜひチャレンジしてほしいと思う。「ジグソウ」の結末から、第一期と別の形でどうやって物語を展開していくのか、製作陣のお手並みを拝見したいからである。

「ジグソウ: ソウ・レガシー」(Jigsaw, 17)_e0160746_11123620.jpg


by broncobilly | 2017-11-11 11:14 | 映画評
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