おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「グレイテスト・ショーマン」(The Greatest Showman, 17)

 実在の興行師P.T.バーナムの成功、挫折、再起の物語を描いたミュージカル。いや、もうミュージカル。徹頭徹尾ミュージカル。堪能いたしました。

 最初に、昔見ていたFOXのロゴが出てきた時点で、もうすでにギブアップでした。

 なにが良いかっていうと、とにかくストーリーが「ショービジネスを描いたミュージカル」の王道になっていて、実にシンプルなこと。キャラクターの描き方も同様。

 ミュージカルはこれでいいんです。いや、こうじゃなきゃ、いかんのです。

 予想外の方向に転がっていプロットとか、複雑な主人公の内面などに煩わされる(?)必要などと無く、観客は'お約束'の世界にゆったりと身を浸しながら、ソング&ダンスを存分に楽しむことができるのだ。

 アステア、ケリーに匹敵するなんて思わないし、そんなこと最初からそんなこと望んでもいないけれど、バーナム役のヒュー・ジャックマンも、相棒となるザック・エフロンも、これだけ動ければ文句はない。

 ぼくは「ラ・ラ・ランド」を絶賛する気にはなれなかったのだけれど、今となってみると、あの作品に対するこちら側の姿勢が間違っていたのだと思う。「本格ミュージカル復活!」という評判に幻惑されて、昔ながらのハリウッド・ミュージカルを期待してしまったのだ。

 あの作品は、例えばフランスの「シェルブールの雨傘」や「ロシュフォールの恋人たち」のように、昔日のハリウッドとは全く違った感性で綴った、ハリウッド・ミュージカルへのラブレターだったのだなあ、と今は思える。
 もう一度観てみよう。

 「レ・ミゼラブル」のジャックマンにはまったく感心しなかったが、「グレーテスト・ショーマン」の彼は良い。と言うか、ぼくは「レ・ミゼラブル」が嫌いだ。華やかなところがちっともないじゃん。

 実際のバーナムが相当美化されて描かれているのは間違いないが、いいんだよ。芸道もの、ってのはそういうもんだ。これを美化しすぎなんて言ったら、今NHKで毎朝やってるドラマなんて(以下自主規制)。

 それでも、異形の者とされる人々の哀しみと怒りの描写には一本筋が通っている。脚本にビル・コンドンが関わっているからだろう。この人はそういう意味では、絶対にぶれない。

 傑作かと言われれば、決してそんなことはない。
 でも、「ミュージカル映画」を名乗るのであれば、これくらいのことはやって欲しい!という水準には充分に達している。

 こういうの、年に数本は欲しいです。


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by broncobilly | 2018-02-16 17:31 | 映画評
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