おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「アナイアレイション-全滅領域-」(Annihilation,18)

 ジェフ・ヴァンダミアのSF小説『全滅領域』を「エクス・マキナ」で注目されたアレックス・ガーランドが脚色・監督した作品。アメリカでは劇場公開中だが、日本ではいきなりNetflixで配信。

 元軍人である生物学者ナタリー・ポートマンの夫で軍人のオスカー・アイザックが謎めいた任務から帰還するが、どうも様子がおかしく、突然苦しみ始める。病院へ急行する途中で夫妻は拉致される。待っていたのはジェニファー・ジェイソン・リー。地上を一定のスピードで拡がり続け、すべての生物を呑み込んでいく'光'の正体を探るべく、'光'に侵された領域に入っていったために、アイザックは変調を来したらしいと知ったポートマンは、女性ばかりで結成された新たな調査チームの一員として'領域'の中に踏み込んでいく。

 「エクス・マキナ」もそうだったが、ガーランドが物語を語るテンポは、ゆったりとしている。ハリウッドの娯楽映画にある、とにかくスピーディに筋を運んで、観客を退屈させないようにしないようにしよう、という姿勢ではない。それでも退屈などさせられない。謎を提示するやり方が巧みだからである。そしてビジュアルのイメージが素晴らしいからである。

 '領域'の中の'自然'や'生命体'のビジュアルが美しかったり、不思議なものだったりするので、まあ登場する生物たちの中には少々安っぽいのも混じってはいる(特に猛獣系)けれど、これだけ見せてくれればSFとしては及第点以上である。

 ある真実が明らかになってからの展開、そして映像は「2001年: 宇宙の旅」を想起させるもので、ここだけでもこの作品を観る価値は充分にある。ヒロインがいよいよ'光'と対峙するクライマックスは演出も面白いし、ポートマンの実力が存分に発揮されている。

 そして観客は「エクス・マキナ」と同じように、人間とは何か?という問いを突きつけられることとなる。

 ただ一つ不満なのは、このクライマックスは特に、劇場のスクリーンでみたかったということ。「2001年」のあの場面と同じように、軽くトリップできたはずだと思うので。

 注目すべきSFであることは間違いない。

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by broncobilly | 2018-03-13 14:21 | 映画評
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