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映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「ランペイジ 巨獣大乱闘」(Rampage, 18)

マリン・アッカーマンとシェイク・レイシーが経営する悪徳巨大企業がによる遺伝子操作の実験のため、ゴリラ、狼、ワニが巨大化というか怪獣化。元特殊部隊兵士で霊長類学者のドウェイン・ジョンソンは、可愛がっていたゴリラ、ジョー、と、三匹が向かっているシカゴの人々を救うため、遺伝子学者ナオミ・ハリス、政府機関員ジェフリー・ディーン・モーガンと共に奮闘する。

 話としてはお約束のつるべ打ちで、C.G.I.を駆使した破壊と怪獣対決のスペクタクルも、面白いことは面白いが、今のご時世でどうということもない。だが、レイティングGの家族向け映画の割には、軍人さんや悪玉だけでなく、一般市民が殺される様子も結構がっちり描いているあたりは評価したい。

 驚いたのは主人公の役割。怪獣映画というのは、当然ながら怪獣が主役なので、普通は人間の主役は影が薄い。どんなスターであっても、どれほど熱演していようと、クライマックスになると、怪獣たちの戦いを眺めながら、善玉怪獣の応援をしているだけで、せいぜい頑張っても、瓦礫の下敷きになった子供やヒロインを助けるとかが関の山、結局は怪獣の引き立て役になってしまう。

 しかし、ジョンソンはそうはならない。腹を大口径の銃で撃たれながら、「急所は外れてるから」とか言いながら、元気いっぱいで飛んだり跳ねたりするのにも驚いたが、クライマックスでは正気を取り戻したジョー君とタッグを組んでリングに上がり(いや、別にリングはないけど)ワニ怪獣と死闘を繰り広げるのである(くどいようだが、腹を大口径の銃で撃たれている)。半ば呆れ、苦笑しつつも、しかし、新しいパターンであることだけは認めなければならないし、ブラッド・ペイトン監督は、このクライマックスではひたすら押しまくるので、ここに至って、なんだかヤケクソの面白さと楽しさが出てくる。

 ナオミ・ハリスは、やっぱり魅力的だし、テキサス訛りでカウボーイ気取り(中のグリップとベルトに注目)のジェフリー・ディーン・モーガンも、この人らしい味がある。だが、あくまでも怪獣の引き立て役であり、しかも、怪獣でさえドウェイン・ジョンソンの引き立て役なのだ。

 ペイトン監督と組んだ前作「カリフォルニア・ダウン」では、腕力で巨大地震をねじ伏せたジョンソンなので、怪獣くらいではむしろ物足りないのかもしれない。

 「カリフォルニア・ダウン」は続編が決定しているようだが、「ランペイジ2」をもし作るのなら、ジョンソンの遺伝子が変異して巨大化というのはどうだろう。全人類の危機という設定に、説得力が出ると思う。


「ランペイジ 巨獣大乱闘」(Rampage, 18)_e0160746_17315259.jpg



by broncobilly | 2018-05-24 17:32 | 映画評
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