おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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「クリミナル・タウン」(November Criminals, 17)

 台風一過、空は真っ青で気温は高いものの空気はさっぱりして気持ちいい。
 なのに、交通機関が完全に再開していないために出講している学校が午前中休講となった。午後どうなるかは、しばらくはっきりしなかった。
 結局、週日休講との連絡があり、さて思わず空いた今日(一日、映画の日)何か観ようと思ったものの、「スカイスクレイパー」、「死霊館のシスター」はもう観たし、絶対に観るつもりの「クワイエット・プレイス」、「クレイジー・リッチ!」、「若おかみは小学生!」は時間が合わない。

 お、今頃「クリミナル・タウン」やってるじゃん。ふむふむ、IMDbチェックすると、うわあ、☆5.3かよ! どうしようかなあ。やっぱ美術館に行こう。あっ、月曜は休館日だ。

 というわけで「クリミナル・タウン」に行ってきた。行ってよかった。

 ワシントンD.C.に暮らす高校生のアディソン(アンセル・エルゴート)の親友ケビンがバイト先で射殺される。事件がギャング同士の構想として処理されることに我慢できないアディソンは、恋人というか初体験の相手のフィービー(クロエ・グレース・モレッツ)に協力してもらったり、反対されたり、またまたベッドを共にしながら、ケビンの死の真相を探ろうとする。

 明らかになる真相は?! え? それだけですか? あっと驚く真犯人とか、度肝を抜く背景とか、一切ありません。

 その代わり、エルゴートが「ベイビー・ドライバー」ばりに車を駆る華麗なアクションが…ありません。

 でもね、モレッツが脱ぐんだよ!というのも嘘です。すいません。

 なんかイライラした小僧が、でも童貞じゃなくなって嬉しいなあ、と時々ニヤけながら、画面の中をうろうろしているうちに、九〇分に満たない上映時間があっという間に終わってしまう。

 恋愛映画というにはミステリ的仕掛けが強すぎるし、サスペンスはあまりないし、さっき書いたようにミステリにはなってないし…。ジャンル不詳。

 でも、そこが捨てがたい魅力だったりする。サム・マンソンの原作を脚色したのがスティーヴン・ナイト(サーシャ・ガヴァシ監督と共同)なのですね。
 この人の書く脚本とか監督した映画には、なんというか一つのジャンルに収まりきらないところがあって、そこが面白かったりもする。

 「クリミナル・タウン」は特に「ハミングバード」(12)を思い出した。アクション場面がほとんど皆無の、ジェイソン・ステイサム主演作。ジャンル不詳。でも、これ好きなんだよなあ。

 自らの罪を贖うことで救済を求める男という主人公の姿も重なる。アディソンが何に「罪」を感じているかは、ここには書きません。ご自分でお確かめください。

 もともとはナイトが監督も担当の予定だったとのことだが、結局監督を担当したガヴァシが脚本にも参加(書き直し?)というあたりで、何かトラブったのかなあ、という気はする。

 ナイト監督版を観たかったような気もするが、ガヴァシの淡々としたタッチも悪くない。

 エルゴートとモレッツの初体験の場面は、イメージ・ショット的に処理するのではなく、尺を取って、ある意味具体的に描写しているのだが、白を基調とした画面に、まったくイヤらしさがないのが良。

 主役二人は旬の人たちだが、少年の父を演じてるのがデヴィッド・ストラザーンで少女の母がキャサリン・キーナー。
 極端な性格を与えられている役ではないのだが、巧い人たちなのできっちり見せてくれる。
 字幕には出ないが、ストラザーンは元ワシントン・ポスト紙のカメラマンだが落ちぶれていて、キーナーは政界の大物で、主役二人のロマンスには「身分違いの恋」の要素もあるのだが、これ見よがしではなく、どちらかの親を悪役にするでもなく、さらりと描いている。

 デヴィッド・ボウイの歌を、あんな風に使うのは反則だ。とてもよかったけれど…。

 などと書いてくると、とてもいい映画のようだが、これといった盛り上がりもなく終わるし、いびつな作品であることは間違いなく、若い二人の代表作には決してならないだろう。

 でも、台風でふと空いた午後の、他に選択肢がなかったがゆえの時間つぶしとしては、ちょっと心に残る拾いものになったと思う。

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by broncobilly | 2018-10-01 17:22 | 映画評
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