おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「ザ・アウトロー」(Den of Thieves, 18)

 デフ・レパードのライブに上京し、昼の間に一本だけ映画を観る時間があった。「2001年
宇宙の旅」をIMAXで上映している。「遊星からの物体X」も観られる。どっちを観ようかなあ、と悩んでいるうちに、「ザ・アウトロー」なる謎映画が新宿で上映されているのを、うっかりと見つけてしまう。
 「ザ・アウトロー」? 知らんなあ。邦題だろうなあ。「ザ・インターネット」とか「ザ・エージェント」とか、「カタカナ英語の邦題は、母音で始まる名詞でも冠詞は‘ジ’ではなく‘ザ’になる」というルール(?)にしたがってるもんなあ、と思ってチェックしてみると、これ、Den of Thives ではないですか! ジェラルド・バトラー主演のアクション・サスペンスでアメリカではスマッシュ・ヒットとなり、なかなか評判も良く、続編の製作も決まっている作品。

 「エンド・オブ・キングダム」のクリスチャン・グーデガスト脚本・監督なので、期待しすぎてはいけないよな、などと思いつつ、結局これを選び、「絶対、後悔するよなあ、「2001年」か「物体X」にしとくべきだったって」」と気乗り薄で対峙することとなったのだが…。

 これにして正解だった。面白かった。大好物の映画だったよ。

 まず、これは絶対劇場で観なくてはならない作品。とにもかくにも、高性能の銃器での撃ち合い描写が冒頭から炸裂。音響効果が素晴らしい。

 バトラー演じるLA郡保安局特殊チームとパプロ・シュレイバー演じるリーダーのもと、元特殊部隊員たちで構成される銀行強盗グループの対決、という図式はマイケル・マンの「ヒート」を想起させる。そして銃撃戦の描写、迫力の方も「ヒート」に負けていない。

 そして、これも「ヒート」を想起させるのだが、バトラーとシュライバーのキャラクター描写が丁寧である。保安官としては優秀でも人間としては完全に破綻していて、妻から三行半を突きつけられたり、シュライバー一味にゲタウェイ・ドライバーとして雇われたオシェア・ジャクソンJr.を拉致し、脅し、「生かさず、殺さず」という感じで利用する卑劣さなども容赦なく描かれる。主人公のイヤな部分もきっちりと描写しているので、いがみ合っていたFBI捜査官と心を通わせる終盤のさりげない描写などに、しみじみとした味がでる。
 一方、強盗一味の(主人公とは対照的な)良き家庭人としての一面なども描かれて、単純な正義vs.悪ではなく、プロの男たち同士の血戦という感じになるのがよろしい。

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 さらに気に入ったのが、実はこれがケイパー・ムービーになっていること。一味が難攻不落の連邦準備銀行にどうやって潜入し、金を奪うつもりなのか、なぜ決行当日に別の小さな銀行に立て籠もるのか、というあたりは、根本のトリックがバトラーが以前主演したサスペンスと同じなので、すぐに見当は付いたのだが、それ以外にも細かい工夫がいろいろとあって、ケイパー・ムービーとしては「オーシャンズ8」よりも、ずっと丁寧である。

 そして、男同士の対決の決着が付いた後に、浮かび上がる意外な真相と逆転。ああ、こりゃ続編出来るよなあ、というラスト。

 こういう、超大作でもなく、派手なC.G.I.に頼っておらず、(ツッコミ始めればきりがないけれど)ミステリとしての工夫があり、キャラクター描写も丁寧で、アクションはすこぶるリアルという、具全部乗せのラーメンみたいな映画は、ありそうでなかなかない。

 まともな宣伝もないままに、ひっそりと公開されてるが、劇場で観ておいて損はないですぜ。

by broncobilly | 2018-10-27 08:56 | 映画評
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