おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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年末大掃除(1)

l いやあ、参った。年の瀬に入ってから、身辺が信じられないほどバタバタとしてしまい、かなり凹んでます。年越しだけは平穏に…とは思っているのだが。

 映画は観てますよ。でも、プログの更新はすっかり滞っております。なんとかせにゃ。
 というわけで、溜まった批評というか感想というかを、年内に小出しにしていきます。

 「へレディタリー」、「来る」。タッチの全く違う二作品なのに、家族の病理というものが根底にあって、じわりじわりと真綿で首を絞めるように観客を揺さぶっておきながら、クライマックスで、「うわ〜!
そっち方面へぶっ飛んでいくんですかあ?!」というところは、なんだか似ています。どちらも、とても'楽しかった'。

 「来る」は、クライマックスがクリスマス・イヴだと知らずに、たまたま十二月二十四日観に行けたのもよかった。終わったあと、Jホラーのファンらしい若者二人連れが「「劇場霊」よりはマシだよな」、「そうそう」と、お互いに言い聞かせるようにして退場していったが、いや、「劇場霊」と一緒にしちゃ、いくらなんでも気の毒だろ。

 「ブレイン・ゲーム」と「マンディ・地獄のロード・ウォリアー」を同じシネコンの同じスクリーンで梯子。

 「ブレイン・ゲーム」のアンソニー・ホプキンス若々しいなあ、と思ったら製作されたのは2015年なのですね。製作会社の倒産やらなんやらで公開が遅れたらしい。

 もともとは「セブン」の続編として、ブラッド・ピットが演じていた刑事が超能力を身に付けるという物語、タイトルも「エイト」として製作される予定が、デヴィッド・フィンチャーが激怒したため(当たり前だ)、スタンド・アローンの作品になったとの由。

 ブラッド・ピットの代わりがアンソニー・ホプキンス。最初はブルース・ウィリスが予定されていたとのこと。物語の後半になってから朦朧と登場する、やはり超能力者のシリアル・キラーがコリン・ファレル。

 そう言えば「ジャスティス」(02)でのウィリスは、どう見てもミスキャストで、最初はホプキンスの予定だった。ファレルは、念願叶ってホプキンスと共演か。いや、「アレキサンダー」(04)もあったな。などと見物しながらも、イロイロと考えてしまうのは、ずいぶんと無理のあるシナリオだから。

 カーチェイスの場面で、敵が奪ったタクシーのナンバーやら、進路やらを予知できるホプキンスが、自分の乗る車が激突/横転/大破という肝心のことを予知できなかったりなど、やたらとご都合主義のところが目立つ。
 アフォンソ・ポヤルト監督は、C.G.I.を駆使して、凝った映像で観客を物語に引き込もうとしているようだが、なんだか独りよがりな感じがする。

 安楽死などの倫理的なテーマを扱っているのだが、これが超能力者同士の対決という作品のキモと噛み合っておらず、かけ算にならずに引き算になっている。

 とは言え、ホプキンスの演技はやはり見応えがあり、ファレルも上手く演じている。出し遅れの証文みたいに公開された分だけ、ジェフリー・ディーン・モーガンやアビー・コーニッシュなど、現在それなりにビッグになった人たちが見られるのも楽しい。

 年の瀬の劇場で、出来損ないだけど、見るべきところがないでもない作品をのんびりと見物するのも、映画ファンの喜びではある。

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 で、そのまま退場せずに(劇場のお兄さんには許可を得ました)「マンディ」。狭い劇場に全員単独の男性客五人(含む自分)。二人が上映時間の半分もたたないうちに退場。一人は始まって間もなくから最後まで、爆睡しておられました。

 カルト集団に最愛の女性を焼かれたニコラス・ケイジの復讐劇、と書いてしまえばそれまでだが、これ八〇年代の米国ですか?!
それとも寝床か別の惑星での話ですが?!
てか、この世ですか?!という感じで、毒々しい赤と黒を基調とした画面、たぶん作っている方には理解できているのであろう場面転換、登場人物全員異形という作品で、半端な役者が主役を演じると世界感に埋没してしまいそうなところだが、そこはどっこいニコラス・ケイジ。埋没するところか、久々にエネルギーを爆発させている。
 こちらは作品の世界間とケイジの存在感が、見事なかけ算になっている。

 こんなトンデモナイ作品を作ったのが、がっちりとしたアクション映画を得意としたJ・P・コスマトス監督の息子パノス・コスマトスだというのが意外だが、注目しておくべき異才であることは確かであろう。

 ラスト・ショットでは、軽くトリップできました。

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 「アリー/スター誕生」も観てきたよ。

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 これはもう、ブラッドリー・クーパーの、がっちりとした演出を楽しむ映画。どの場面も全く奇を衒わず、正攻法であるのが見事。歌唱場面で、登場人物や観客のリアクション・シヨットをほとんど使わず、ステージをしっかりと見せることに専心しているのが「ボヘミアン・ラプソディ」と対照的で面白い。だらこそ、ラスト、ヒロインのパフォーマンスでのインサート・ショットが生きる。

 主人公二人が初めてで会う晩の出来事に音たっぷりと尺を取っているのも良いなあと思った。

 ガガの父親役がアンドリュー・ダイス・クレイというのもいいなあ。実際に、またたく間にスーパースターとなり、一瞬にしてその座から転がり落ちた(「フォード・フェアレーンの冒険」観た人〜?
はーい!)人が演じてるからこそ、名声に憑かれた、この人物に説得力が生まれる。

 ぼくは昔からサム・エリオットのファンなので、この人が実にいい役をもらってしみじみとした味を見せているのが、とても嬉しかった。

 キャスティングで言えば、クーパーがレギュラーの座を2シーズンでクビになった「エイリアス」(番組自体は5シーズン続いた)のレギュラーが二人出演しているので、クーパーは偉いなあ、と感心してしまったよ。
 運転手役のグレッグ・グランバーグと、療養施設場面に登場するロン・リフキン。
 Amazon Primeで久し振りに「エイリアス」を観ているところなので、同番組でクーパー演じるキャラに地獄の思いをさせるリフキンが、優しい後見人的な役で顔を見せる場面は、なんだか可笑しくて堪らなかった。


by broncobilly | 2018-12-29 08:10 | 映画評
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