おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「RAIJIN 雷神」Kill Switch (08)

 guilty pleasureという言葉がある。恥ずかしくて人には言えないようなちょっとした愉しみ、というような意味である。
 ぼくのguilty pleasureは(って、ブログで堂々と公開してしまっているわけだが)の一つはスティーブン・セガールの新作がアメリカで発売になるや取り寄せて鑑賞することだ。
 「刑事ニコ/法の死角」を初めて観たときは大変なアクション・スターが現れたものだと思った。そのあと、「ハード・トゥ・キル」、「死の標的」と追いかけて、静岡市では公開されなかった「アウト・フォー・ジャスティス」は新橋の名画座まで出張って観た。このあたりまでは本当にワクワクした。逆にちょっとつまらないなと思ったのは日本での出世作になった「沈黙の戦艦」である。
 まあ、そのあとセガールさんもいろいろあって、ここ10年ほどはアメリカでは新作映画が劇場で掛かることがない。ことごとくDVDスルーである。またその数が多いのである。まさに粗製濫造。それらのほとんどが日本ではごく限られた数の劇場で申し訳程度の期間上映されて、そしてDVDショップの棚に並んできた。
 ぼくは初期のセガール映画のワクワク感が忘れられず、夢よもう一度とばかり日本公開前にセガール作品のDVDを輸入し、そしてがっかりし、呆れ果て、もうやめようと誓い、そして気がつくとまた注文しているのである。
 箸にも棒にもかからない作品ばかりで、セガールも最近は動かず、しゃべらず、演技せず(そんなの前からだろうと言われるかもしれないが、少なくとも昔は動いていた)である。なのになぜ買い続けるかというと、「沈黙の傭兵」とか「沈黙の報復」みたいに、それ自体が素晴らしいというわけではないが、「次はひょっとして・・・・」と淡い期待を抱かせてくれる作品が希に登場するからだ。前作「弾突」もそんな映画だったので「雷神」にもちょーっとだけ期待したのだが、これはいけませんでした。監督はジェフ・キングで脚本はセガール。後者は「ほんとにあんた書いたの?」と突っ込むところだが、あまりにも酷い脚本なので説得力はある。セガールが書いたんだろうなあ。ラストのオチなんて開いた口がふさがりません。
 ニューオリンズの刑事セガールがサイコ・キラーを追う。ところがもう一人サイコ・キラーがいて、セガールが接触した女性たちを次々と手にかけていく(このあたりにはイーストウッドの「タイトロープ」の影響ありあり)。FBIの女性捜査官が、セガールがサイコキラーで、人を殺しては自分が追っている変質者の仕業に見せかけているのでは?との疑いを抱いて・・・、と文字にすると面白そうかもしれないが、運びががたがたなのでサスペンスの面白さはない。
 まあ、セガール映画の場合ストーリーはあればいいけど、アクションさえしっかりしていれば、という感じなのだが、アクションが今回もダメ。最近の彼の主演作には多いのだが、監督が一生懸命になって、なるべくセガールの顔(というか、セガールの代わりにがんばって動いている誰かさんの顔)を撮さないように必死でカットを割ったり、天井からのショットを入れたりしているのだ。不自然きわまりない。しかも、その不自然さをごまかすためか、「おっやるな」、「骨を折ってやる」、「死にたいのかな」etc.格闘しながら主人公がのべつ幕無しにしゃべっている。しかし、セガールの顔がアップになると口は動いていない。というと、心の声か? 斬新すぎる演出だ。しかも、よく聞くとセガールの声でさえないぞ。もうわけがわからない。
 二人目のサイコキラーとの最後の格闘場面だけは、先生ちょっとやる気になったのか、全身のショットが多く不自然さは少ない。ずっとしゃべってるのは変わらないが。
 検死官の役でアイザック・ヘイズが出ているが、撮影直後に亡くなったことをこちらが知っているせいか、心なしトレードマークの美声に力がない。
 ああ、また金を無駄にしてしまったと悲しい気持ちになり、もうセガールの新作なんて注文するもんかと心に誓う。半年も待てば二百円でレンタルできるのだから。しかも次作Against the Darkでは日本刀を振り回して吸血鬼たちと戦うですとー?? 絶対注文なんかしないぞ! たぶん・・・。しないほうがいいよな・・・・。でもやっぱり・・・。

映画・ドラマ

by broncobilly | 2009-01-04 13:26 | 映画メモ
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