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映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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地獄の映画評その2「ヘルボーイ ゴールデン・アーミー」Hellboy II: The Golden Army(08)

 アメコミとかグラフィック・ノベルのスーパー・ヒーローと友達になれるとしたら誰がいいだろう。アイアンマンとかバットマンとか大富豪の幇間になって贅沢させてもらうのも悪くないし、ハルク=ブルース・バナーも怒らせないように注意さえすれば、病気になったときとかありがたいだろう。ピーター・パーカー=スパイダーマンには宿題とか手伝ってもらえそう・・・・、などとつらつら考えてみたが、ぼくは友達になるのなら絶対にヘルボーイがいい。外見は厳ついし口は悪いけど、友情に厚いし、気持ちは優しいし、気のいい奴である。チョコレートとビールがあれば一緒に楽しく過ごせるというのも気が楽である。
 一作目はとても楽しませてくれたので、「ゴールデン・アーミー」にも期待していたが、やっぱり楽しませてもらった。
 なんと言っても、ギレルモ・デル・トロのクリーチャー愛、機械仕掛け愛が画面の隅々にまで溢れているのが、まずは見物。新登場の蒸気人間ヨハン・クラウスもいい味出してます。その分、前作の終盤でヘルボーイとの間に友情らしきものが芽生えた人間の上司マニングの描写がおざなりになっている。面白いキャラクターで、ジェフリー・タンバーもノって演じているのがわかるので、これは惜しい。
 クリーチャーと機械仕掛けへの偏愛と共に、デル・トロのもう一つの特徴である孤児のモティーフは、今回もしっかりと中心に据えられていて、ヘルボーイ、リズ、エイブといった前作からのメンバーのみならず、今回の敵役であるヌアダ王子(ルーク・ゴス)も自ら父王を手にかけることを選ぶ。
 ヘルボーイとリズ、双子であるヌアダ王子とヌアラ王女、生きるために絶対に互いを必要とする二組のドラマが物語の中心となるわけだが、今回はエイブとヌアラのロマンスがスパイスとなっている。ひたすら上品で洗練されたエイブが、恋に落ちるやいなやバリー・マニロウの「涙色の微笑」を愛聴するようになり、酔っぱらってヘルボーイと合唱する場面は可笑しくていじらしく、涙無しでは笑えない。ちなみに映画版「スタスキー&ハッチ」冒頭でもこの曲が流れていたから、もはやお笑い曲として認知されているのでしょうね。
 ヘルボーイのロン・パールマン、リズのセルマ・ブレア共に二作目とあって、役を完全に自分のものにしている。特にパールマンは一作目以上に、ヘルボーイのキャラクターに余裕のあるユーモアを込めている。
 人類絶滅を呼ぶゴールデン・アーミーの復活を巡るストーリーは、スケールの大きなものなのだが、(一作目もそうだったのだが)かっちりとまとまりすぎているような気もする。ビジュアルの破天荒さのわりに、物語の弾け方が少し足りないか。「デビルズ・バックボーン」や「パンズ・ラビリンス」の場合は、「ヘルボーイ」と比べて話のスケールが大きいというわけではないのだが、スペインの歴史がバックボーンとなって奥行きが拡がっていたのだが。
 とはいえ、「ゴールデン・アーミー」では、ヘルボーイの将来に関する恐るべき予言がなされたので、三作目以降が作られればより奥行きのあるドラマが展開されるはずだ。「ホビットの冒険」の後ということになると、ずいぶん先になってしまうわけだが。
 それでも待ちたいと思うだけの魅力を持ったシリーズあることは間違いない。

映画・ドラマ

by broncobilly | 2009-01-16 10:40 | 映画評
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