おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
by broncobilly
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「マンマ・ミーア!」Mamma Mia!(08)

 世界的に大ヒット、特にヨーロッパでは(ミュージカル映画としては)記録的な成功を収めた作品。母と娘、父親かもしれない3人の男という組み合わせの元ネタは「想い出よ、今晩は!」(68)ではないのかね。
 いずれにせよ、舞台「マンマ・ミーア!」とその映画化では、娘ソフィが結婚式直前に母ドナに秘密で父親かもしれないビル、ハリー、サムの3人をギリシャの島に呼び寄せドラマが展開していく。「ハイスクール・ミュージカル」みたいに"洗練されていない"ことを楽しむ種類のミュージカルです。歌も踊りも垢抜けていない(アバだって洗練とは無縁だよね)。
 楽しくなかったかと問われれば、楽しかったと答えるが、ミュージカル映画を観た!という満足感は残らなかった。「登場人物が突然歌い出すから苦手」という人がけっこう多いミュージカルというジャンル、「突然」の不自然さを弱め、むしろドラマを盛り上げるためには歌が登場人物の感情の自然な発露でなくてはならないと思う。「マンマ・ミーア!」はそこが弱いような気がした。
 ベタな例えだが「雨に唄えば」での雨中のダンス場面。恋の喜びに浸りながらそぞろ歩くジーン・ケリーの感情の高まりがなめらかにソング・アンド・ダンスに移行していく。
 「マンマ・ミーア!」前半のクライマックスである「ダンシング・クィーン」はどうか。落ち込んでいるドナ(メリル・ストリープ)を励まそうと親友ロージー(ジュリー・ウォルターズ)とターニャ(クリスティーン・バランスキー)が「ダンシング・クィーン」を歌い出し一大群舞となっていく場面は大きな見せ場のはずだが、中心となるドナの感情の高まりがドラマの流れと関係ないものなので素直に入り込めないのである。この場面が終わるとドナはまた落ち込んでいる。
 もちろんアバの曲がデジタル音響で鳴り響けばワクワクする。だがこのワクワクはストーリーとは分断したものであって、アバの曲を披露するためのつなぎとしてストーリーが展開している感じがぬぐえない。後半になって話が佳境に入ってくると、だいぶ不自然さはなくなっていくのだが。
 ストリープは動きも歌も無難にこなしているが、案外面白みがない。ピアース・ブロスナンの歌の方が上手くはないが味がある。喜劇演技は苦手というこの大女優の弱点が出てしまっている。ストリープは「プラダを着た悪魔」や「ダウト」のようにストレートな演技をしたときにこそ、素晴らしいユーモアを醸し出す女優なのだ。とは言え「ウィナー・テイクス・イット・オール」をパフォームするストリープは素晴らしい。ここでのストリープは"唄っている"のではなく"演じている"からである。
 なんてぶちぶち文句を言いながらも、やっぱりアバの曲が流れ出してギリシャの美しい海(実はC.G.を多用しているそうだが・・・)が映ればとてつもなく楽しいのである。アバ全盛期には、「へっ、アバなんて聴くのは芋だぜ!」なんていきがって避けていた筆者だが、「マンマ・ミーア!」で流れる曲はやっぱり全部知っていた。恐るべし、アバ。
 
映画・ドラマ

by broncobilly | 2009-02-04 17:20 | 映画評
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