おにがしま


映画批評家      鬼塚大輔      による映画評その他なんだかんだブログであります。
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2018年 09月 15日 ( 1 )


「ザ・プレデター」(The Predator, 18)

 「プレデター」(87)、「プレデター2」、「プレデターズ」(07)の続編という位置付けで、エイリアンと闘った2作はなかったことになっているらしい。正しい判断だと思う。

 第1作目はで封切りの時に観たが、がらんとした横浜の劇場で、白けた気持ちでスクリーンを見つめていたことを憶えている。シュワルツェネッガーとプレデター一対一のタイマンとなるクライマックスでは、「いったい自分はどうしてこんなみょーちくりんなシロモノを観ているのだろう? 観なくてはならないのだろう?」とシュールな気持ちになったことをはっきりと憶えている。ぼくにとって「プレデター」は大ハズレの作品だったのである。

 その数年後、博多のビジネスホテルに泊まっているときに、部屋の小さなテレビで「プレデター」が放送されていた。食事に出かけようと思っていたのだが、なんとなく観始めて、結局最後まで観てしまった。しかも、大いに楽しんで。自分でも驚いた。

 多分初見の時は「コマンドー」+「ダイハード」みたいなアクション映画を期待していたので、梯子を外されたのだと思う。二回目は「バカ映画」なのだということを知った上で、最初から「バカ映画」として対峙することになったので、素直に作品の真価が理解できたのだ。

 で、今回もあちらのメディアやIMDbのユーザー・レビューを観ると「バカ映画」たど叩いているものが多いのだが、そんなの当たり前だよ。

 だって監督でもあるシェーン・ブラックとシナリオを共同執筆しているのはフレッド・デッカーだよ。「クリープス」(86)だよ。「ロボコップ3」(92)だよ。バカの王様だよ。しかも、ブラックとデッカーが以前に共同執筆した脚本は「ドラキュリアン」(87)ときたもんだ。日本ではDVDも出ていないこの作品が、大ケッ作であり、大傑作であることを、この間FOXスポーツ&エンタで確認したばかり。

 「ザ・プレデター」。由緒正しきバカ映画ぶりを、大いに堪能させて頂いた。

 しかもね、実際に観てみると、これが「ならず者部隊」映画だったんだよ。二年に一度は「特攻大作戦」を観るおれ様は、「ならず者部隊映画」大好物です。

 主人公の軍人さん(ボイド・ホルブルック)は、ひょんなことから精神を病んだ兵士ばかりで構成される「部隊」の指揮官となって闘うこととなる。闘う相手がプレデターだけでなく、人間側の悪玉(スターリング・K・ブラウン)も相手にしなくてはならないあたり、ドイツ軍と米軍内の官僚主義者両方を敵に回していた「特攻大作戦」を思い出す。

 この兵隊さんたちの個性がきっちりと描き分けられているのは結構で、科学者として登場しながら、ぜんぜんそうは見えなくなって暴れ回るヒロイン、オリビア・マンも含めて、各自のやりとりが実にユーモラス。獲物を食べるわけではないのだから、「プレデター(捕食者)」でなくてハンターだ」と、ここには学者らしくこだわってみたものの、他の科学者たちからはこの意見を一蹴され、あとで「隊員」の一人が同じことを口にすると'Thank you!'とマジで感謝するところは笑った。

 なかでも異彩を放っているのがトーマス・ジェーン。この人はスター候補だったのだが、「パニッシャー」の大コケあたりから失速して、最近はブルース・ウィリスやニコラス・ケイジの低予算DVDスルー映画に出演するようになっていた。開き直ったのかNetflix配信のスティーヴン・キング原作「1922」では二枚目アクションスターのイメージをぶち壊す怪演技を披露してくれて、ぼくは大いにこの人を見直したところだった。
 それにしても「ディープ・ブルー」、「パニッシャー」、「ドリームキャッチャー」、「ミスト」etc. この俳優は「バカ映画」との親和性が異常に高くて感心する。
「ザ・プレデターズ」でも良い感じです。

 出演者の中で残念だったのが「プレデター2」に出て来たピーター・キース(ゲイリー・ビューシー)の息子を演じている、実際にゲイリーの息子でもあるジェイク・ビューシー。オヤジ同様アクの強い演技が面白い人なのに、この作品にはただ大人しく出ていて、すぐに消えてしまう。


 ホラー場面、グロ描写の中に、下ネタとかも含めて低級なギャグを混ぜていくというのはフレッド・デッカーのお得意(特に「クリープス」。これも一見の価値あり)で、笑いながら観ているうちに、この「部隊」のメンバーが「ドラキュリアン」の悪ガキたちみたいに見えてきた。そういや、あれもハロウィンの晩の物語だった。

 主人公の息子の命を救うために、「隊員」たちが命を懸けることを決断するあたり、この手の映画のお約束とは言え、やっぱり伝統芸能的良さがあります。


 「ならず者部隊」映画は、広い意味ではこの範疇に入る「七人の侍」なんかもそうだけど、少なくとも隊員の半分以上は死ななくてはならない。

 「ザ・プレデターズ」は、隊員たちがみんな和気藹々とやっていて、なかなか「戦死者」がでないのだが終盤近くになって、林の中での人間vs.プレデターの闘いになると、次々と斃れていき、1作目のジャングル戦を濃縮して再現しているようでますます嬉しくなる。

 などと書いてくると、とても良い作品のようだが、あくまでも「バカ映画」ですからね。なんだよ、あの「犬」は? ふざけてんのか? ふざけてるんだろうけど。主人公がプレデターから奪ったクローキング・デバイスを呑み込んで隠すので、どうやって取り出すのかと思ったら…。あっ、やっぱりそうですか。
 宇宙人が持ち込んでものを、いきなり呑み込んで命の危険がないのか考えないアバウトな主人公。
 プレデターの武具の方は妻子に迷惑がかからないようにと自宅ではなく私書箱に送る。妻が私書箱の料金を払っていなかったために無駄知恵となるわけだが、そもそも私書箱は妻子の住む街にあるのだから、ほんとに心配していたのか疑問に思う。

 でも、いいんだよ。「バカ映画」なんだから。「バカ祭り」なんだから。


 主人公も含めて、登場するのはバカかXXXXばかり。しかし、だからこそ人間が勝利を収める。バカの持つ力、まさに「馬鹿力」である。だから、クライマックスでは、あんなことや、こんなことができる。少しでも、ものを考える人間にはできない行動を取る。観る側も「バカ」になるべし。少なくとも、ぼくにとって、それは決して難しいことではない(自慢にはならないが)。

 とても楽しかった。ヒットして欲しい。そして次もシェーン・ブラックと、そしてフレッド・デッカーでお願いします。


*ネタバレ追記(作品未見の方はスルーしてください)

 善玉(にしては人殺しすぎ)プレデターから人類へのプレゼント「プレデター・キラー」の箱を開けるラストで、エイリアンが出てきたらどうしよう、また次もAVPを延々と見せられるのか!?とハラハラした。一番サスペンスがあったのはここでした。

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by broncobilly | 2018-09-15 16:55 | 映画評